ドイツ留学体験談、今回は東北大学を卒業後ドイツのドルトムント工科大学にて情報学を専攻しているMizukiさんに登場していただきます。
ドイツ大学入学のきっかけや入学までの道のり、実際に大学に入学してみて感じる苦労、日常生活など紹介していきます。

今ではドイツの工科大学で情報学を専攻しているMizukiさんじゃが日本の大学ではヨーロッパ史を専攻していたのじゃ。

ドイツ大学で文系から理系に変えたい学生には一押しの留学レポートじゃぞ!
ドイツ大学に入学しようと思ったきっかけ
日本の大学の2セメスター目に、ドイツからの留学生たちと知り合ったのがきっかけです。
その後、東北大学と協定大学だったドルトムント工科大学へ1年交換留学に行き、すっかりこの大学とルール地方が気に入ったので、日本の大学を卒業したら戻ってこようと思いました。
気に入った理由を簡単に挙げるならば、日本に大学と違って『ガチで勉強する』のを楽しめることです!
学生寮の地下室に作られたバー(Studentenkneipe)や自前で身内用のキオスクを運営したりもする学部学生会(Fachschaft)などの自立した学生文化が豊かなこと、学期共済費(Semesterbeitrag)を除けば学費がないこと、NRW(ノルトライン・ウェストファーレン州)はよくメタルバンドのコンサートが開かれること、ドイツの食生活が口と胃袋にあっていることです。

留学ラボの調査ではドイツに大学留学している学生のほとんどが、交換留学や短期の語学留学経験があるのじゃ!やはり大学留学をするのなら情報収集のために短期留学しておくのがおすすめじゃぞ!
ドルトムント工科大学入学とDSH試験合格までの道のり
すでに日本の学士号を持っていたので、学部(Bachelor)であれば学科にかかわらず、合格に必要だったのはDSH試験合格だけでした。(希望のStudiengängeのほとんどがNCなどの入学制限もありませんでした。)DSHに1年かかると思っていたのが半年で合格したので、夏学期に開始できるドルトムント工科大学に進学しました。
DSHの準備コースはTH Nürnberg付属の語学学校だったのですが、先生が皆そろいもそろって経験豊かなプロの先生でしたので、半年でかなりドイツ語は上達しました。
もともと得意だった読み書きだけではなく、ディスカッションの能力が飛躍的に鍛えられました。参加者はいわゆる難民の中東系の大学志望者が多かったです。あとは、親が仕事でドイツに来た人たちでした。特にイラン系グループはおしゃべりなメンバーが多く、私のほうに勝手にやってきて気づいたら友達になってました。
私は彼らとの会話で口頭表現能力を、彼らは私の文法説明で作文能力を鍛えるというwin-win関係になれたのは、お互いにとって大きな利点でした。
DSHコースや学科の情報などは、ドイツでの生活費を用意するために日本で働いていた間に日々集めてました。すぐにドイツに行けず仕事していた間は、この情報集めが心の支えになりました。
大学入学までの入学手続きで苦労したこと
NRW以外の新しい地域に住んでみたいと思い、TH NürnbergでDSH準備コース(C1)に通っていたのですが、ニュルンベルクでの生活の中でどうしてもNRWに戻りたくなったので、2月のDSH試験以降の行先を探していました。
可能性としてはDSH合格で夏セメスター開始が可能なStudiengangに行くもしくは冬まで待機する、不合格でNRW内のDSH準備コースに移るかでした。2月で合格した場合、希望Studingängeの多くは冬スタートでしたので半年待たなければなしませんが、2月のDSHの合否どちらのケースもTU Dortmundなら夏から開始可能で応募も一括でできたので応募しました。
応募はUni Assistで問題なく進みました。夏セメスター前だったからか、あまり待たされることもなく結果が返ってきて、情報学部(Informatik), DSHともに受け入れが許可されました。
そしてDSHに合格したので、InformatikのZulassungを受領することになりました。法定保険も滞在許可証も、すでにニュルンベルクで取得済みだったので、Zulassungを受け取った後は書類の提出だけでした。

大学によってはDSH試験に合格していなくても入学許可証を与えるところもあるそうじゃ。その代わり期日までにDSHの合格証を送らないと除籍処分になるので注意するのじゃぞ!ドイツ大学留学の詳しい手引きは以下で紹介しておるので参考してみるのじゃ!
DSH試験合格を目指して通っていた語学学校について
ゲーテインスティチュートやいわゆる『まちの語学学校』には行ったことがありません。
ドイツ語の勉強は、日本の大学に在籍していた間は、第二外国語の授業やドイツ語講読(西洋史についてのドイツ語で書かれた論文や文献、ドイツ語の文学を読む演習)でドイツ語の勉強をしました。
また、協定大学だったGeorg-August-Universität Göttingenのドイツ語サマープログラムと2セメスターの交換留学(上記のTU Dortmund)をする機会がありましたので、その間はドイツの大学内のドイツ語コースにいました。
日本の大学を卒業後は、上に書いた通り1セメスターだけTH Nürnbergの付属のDSHコースにいました。
ドイツ語勉強に使っていた教科書や問題集
日本の大学を卒業してからDSH準備コースを始めるまでは日本で仕事をしていたので、その間は『Mit Erfolg zum Goethe-Zertifikat』シリーズを使って独学していました。ほかにも高校生の頃は、『Z先生の超かんたんドイツ語』を読んでました。
このように、あまり個人的に使用したテキストはないです。インターネットで文法や語彙が調べられることが大きな理由かと思います。
初めてのドイツ生活で苦労したこと
特にありませんでした。協定派遣だったのでドイツの協定大学が滞在許可書、法廷保険、銀行口座に寮とすべて手配してくれたドルトムントや短期だったので大学が押さえてくれた学生課(Studentenwerk)の寮に住むだけで何も問題のなかったゲッティンゲンとちがい、TH NürnbergでのDSHではすべて自力で手配だったので、そこが大変といえば大変でした。
ですがもうC1のコースに振り分けられるぐらいドイツ語が分かったので、悪名高いドイツビュロークラシー以外の問題はありませんでした。
ドイツの大学に入学してからの生活や大学生活の苦労
交換留学や夏休みで滞在していた2013年から2015年の間に比べて、ドルトムントや周辺都市の住居難が悪化していることは、今回ドルトムントに移って感じました。
家賃水準も高くなっていますし、競争率が増しているように思います。今の寮(Studentenwerkではない)がお世辞にもいいところとは言えないので転居したいのですが、なかなかいいところが見つかりません。物価自体が上がっていることもあります(ケバブは3,00ユーロだったのが3,50まで上がってます)。また、電車の遅れもひどくなっているようですし、高速道路の工事も多くて悲しいです。
4月の最初の週はO-PhaseやErsti Party(新入生歓迎会)に行ってきたのですが、日本の大学と交換留学中のドルトムントではヨーロッパ史と言語学が専攻で、今回は情報学部に転科しているので、モデュール構成や日本で修了した学位を副専攻に読み替えができるなど、学科特有の情報は集まりました。
現在は必修モジュールだけですので、時間割も自然に他のモジュールにかぶらないようになります。授業に出て説明を聞き、その内容の課題を友達と意見交換しながら解いて提出し、課題や実験でその知識の熟達を図るという流れになっています。高校も文系でしたので、知識をいろいろと自力で補わなければならないこともたびたびありますが、インターネットやその科目を得意分野としている友達に聞いてこなしています。
ドイツと日本の大学はココが違う!!
日本の大学では理系でなかったので単純には比べられませんが、交換留学時代の言語学のコースを思い出しても、『ガチで勉強する』のがドイツの大学だと思います。
日本にいたときはよく追追追追追追試なんてのも聞きましたが、ドイツでは同じ試験を3回失敗すると原則的に、ドイツ全土でその学科を続けられなくなるというルールのせいか、みな慎重真剣です。
TU Dortmundではチューター制度が確立していたり、情報学部の学部学生会では勉強で困ったことがあるとき、マスターの学生や学部の先輩など、誰かしら教えてくれます。上の学生から下の学生への知識の共有と伝授や、一緒に勉強して教えあうことが基本になっています。
人目を気にしない学生生活も、日本の大学とは違うように思います。文化面でも、いわゆる同調圧力や非リア充などのカーストはないように思います。標準修了セメスター数で終えなければならない風潮もなければ、一度働きに出て戻ってくる学生やキャリア成功のため実務で経験を積めるよう修行を兼ねて半分働きながら大学に通う人も多いです。
卒業プランも友達付き合いもなにもかもカスタムがデフォルトなのです!!
- 試験を3回失敗すると原則的にその学科を続けられなくなるからみんな慎重真剣!
- 上の学生から下の学生への知識の共有と伝授や、一緒に勉強して教えあうことが基本!
- 卒業プランや学校生活の自由度が高い!
これからドイツの大学を目指す人へ
学費がない、福利厚生がいいなど、最近になってやっと注目されるようになってきたドイツ留学ですが、タフな生活になることは間違いないです。
いかにしてお役所をうまく働かせるか考えたり、勉強することが好きな人には刺激の多い生活になります。ですが、勉強だけではなくて、HochschulsportやFachschaftの趣味活動、学生寮のバーやイベントを通じて、楽しみにも真剣に没頭できます。
著者:Mizuki/編集:井上誠志
やぁ、学生生活、懐かしいです。読みながら「そうそう」「まったくその通り」と思わずうなずいてしまいました。学生のみなさん、目標に向ってがんばってください。応援してます。