両親の説得からドイツ語、センター試験、出発前に準備した事:高卒の自分がドイツ大学に合格するまでの記録

こんにちは、ヨシ(@yossy_Deu)です。

「ドイツの大学入学を目指そう」と日本の高校を卒業して、ついに今年の2020年の1月に無事、ミュンヘン大学から入学許可の通知をいただきました。

ルートヴィヒ・マクシミリアン大学ミュンヘン、略してミュンヘン大学(LMU)に夏学期の4月から情報学(Informatik plus Computerlinguistik)を専攻する事になります。

ミュンヘン大学ってどんなところ?と思う方はこちらのYoutubeにあるLMU大学チャンネルを参考にしてみてください。

ミュンヘン大学の紹介動画/大学公式チャンネルより

入学までもう少し時間があるので、今回は高校卒業からドイツ大学合格までの道のりを、ドイツ大学へ進学しようと思ったきっかけから語学学校や出願、ドイツ語の勉強方法を含めた具体的な入学までの手順、その際に必要だった書類もまとめていこうと思います。

合格通知を受け取るまでの1年半を、全て一度に書いてしまうと膨大な量になると思い、今回は全部で3つのパートに分けて書いていきます。

この記事では、高卒の僕がドイツで情報学を専攻学しようと決めた理由、ドイツ留学のために避けては通れない両親への説得、日本にいる間のドイツ語勉強、実際の出願時に使用したセンター試験と高校の書類、保険や銀行口座、大使館で済ませた事など出発前の出来事について重点的に紹介していきます。

各項目についてできるだけ詳しく説明していくつもりなので、必要な情報だけが欲しいという方は目次から各見出しへ飛んでください。

僕が高校を卒業をしてからドイツの大学に進学しようとしたキッカケ

僕の通っていた高校は1年生の頃から、模擬試験の結果を見ながらどこを志望大学にするかを先生と考えるような”自称”進学校で、海外に進学する人なんて毎学年400人中1人いるかいないかでした。

その頃の僕も海外の大学に行きたいなんて、これっぽっちも考えていませんでした。

そんな僕のキッカケですが、ひょんなことから高校2年生の頃に高校主催のイギリス英語研修の選考に合格し、初めてのヨーロッパに短期留学した時でした。

英語研修のチューターであった世界の名門大学であるオックスフォード大学の学生などと僕の辿々し英語で会話しながら、物凄い数のカルチャーショックを経験し、「海外の大学するのもありだな」と考え始めました。

しかし、すでに受験勉強期間も始まってあまり先生や親のプレッシャーから、なかなか海外の大学も視野に入れているなんて言い出せませんでした。

それでも、受験勉強の合間には留学についてのサイトやYouTubeを見て、海外の大学に進学するという憧れを持つようになり、受験勉強の合間には留学についてのサイトやYouTubeを見て、海外の大学に進学するという憧れを募らせていました。

海外の大学へ進学はしたいものの現実的ではないので、(当時の自分は現役で受かると思っていた)日本の大学に入学した後に、1年間ぐらい海外に留学できるという夢をみれたらなあという軽い感じでした。

高校3年の夏には自分の日本で志望する大学のオープンキャンパスに行ったのですが、あまりその大学に魅力を感じず、受験勉強のやる気もでないでいました。

そんな感じで僕の高校生活はメリハリもないまま過ぎていきます。

ある時、情報学をカナダで専攻したあるYoutuberの動画を見て、ドイツの大学が授業料が無料(一部の州を除く)だということ、さらに世界中これからITエンジニアの需要が高くなっていくということを知りました。

この動画を観ていて僕は初めて「海外の大学に正規で行くなら、ヨーロッパで技術分野に強い国、ドイツで情報学を専攻してみたいな…」と思いました。

カナダ留学の動画をキッカケに、ネットでいろいろ情報を調べていくうちに、IT分野ではドイツがヨーロッパの中では一番盛んで、例えばミュンヘンはソフトウェア企業が多く、ベルリンでは特にスタートアップ企業が多いこともわかりました。

アメリカやカナダへの大学進学も考えましたが、例え奨学金を借りたとしても4年間分の学費が足りなかった事、またアメリカの大学を卒業したところで現地では働けるかどうかはわからないということで断念しました。

日本の大学を卒業してもソフトエンジニアとしての待遇は低く、また前々から両親からは大学に行くなら奨学金でも借りて自分で行きなさいと言われていました。日本の国公立ですら四年間全て合わせて1000万はかかるということを自分で試算しており、今後は借金を背負いながら生きていくのは気に食いませんでした。

高校3年ごろに

「ドイツの大学に行きたいんだよねえ」

と軽く母親に言ったことがありましたが、

「大学入ってから交換留学制度使いなさい」

と返事され、あまり重くは受け止めてくれませんでした。

そんな感じで僕は周りに流されるまま、みんなと同じように高校生活を過ごし、日本の大学を受験しました。

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現役の日本での受験の結果発表の日には、その大学まで母親と結果を見に行きました。

自信はあったのですが合格ボードに自分の受験番号はありませんでした。

あの日の何故か僕よりも悲しそうな母親の顔は忘れません。

帰りの新幹線の中で、今までの夢であった海外大学正規留学をしたいと母親に告白しました。

しかしなかなか説得はうまくはいかず、ここから長い説得期間が始まります。

避けては通れない両親への説得

最初は聞く耳も持ってくれませんでした。

あとあとになって聞いてみると、受験戦争に負けて気が狂ったと思っていたそうです。(笑)

自分で計算した日独比較の学費の自作excelデータ(画像)や、いろいろな海外留学についてのブログ、YouTuberの動画を見せたりもしました。

両親を説得するために作成したExcelシート/写真提供:よし

しかし、母親も高校時代、大学受験に失敗したという過去があるらしく、予備校代出してあげるから日本の大学に行きなさいと説得され、父親には本当にそのインターネットで拾った情報に信憑性があるのか?と疑われる始末で両親ともに説得しようがありませんでした。

しかし、僕はすでに行動を開始しており、浪人が決まった日には「ドイツ単語1600」という単語帳を購入し、本当にこんな僕にでもドイツ語が習得できるのかと、試しに学び始めました。

とりあえず1年間予備校代を親に出させるのも癪だったので、親の提案を断り自宅浪人を開始しました。

大学の合格発表から2ヶ月後にドイツ語3級の試験があったので、自分のドイツ語の才能を測るとともに、できれば両親へ僕の本気度のアピールになるかと思い自費でそれを申し込み、一応浪人用に赤本と共に図書館にこもり半々ぐらいで勉強を開始しました。

なんとか2ヶ月で独検3級に合格し、両親に結果を見せると、両親たちに認める代わりに次の2つの条件を提示されました。

  1. ドイツ留学に失敗した(C1に合格できなかった)ときの保険用に某旧帝国大学に合格する。
  2. 日本の大学の受験費用は我々が出すが、ドイツ留学の費用は誰かにお願いしろ。

内心、金出さないくせに何様だとは思っていましたが、少し結果を認めてもらったようで嬉しかったのを覚えています。

そのあとは祖父にお願いして、なんとか語学学校に通い大学に入るまでの1年間弱のための留学費用約150万円を借り、②をクリアしました。

祖父にお金を借りる際に作ったExcelシート/写真提供:よし

さらに1年間弱、受験勉強、度重なる模試とドイツ語の勉強を両立してなんとか①の条件もクリアし、やっとすべての条件をクリアしました。

一浪で大学に入学する頃には両親ともに僕のドイツ留学をサポートしてくれるようになっていました。

日本の大学はドイツの大学に入るまでの保険だったので、日本の大学はただ入学費を払っただけで中退しました、、笑(真似しないでください)

ドイツ語勉強について(ドイツ語5級から3級)

最初は、先ほども紹介したように、ドイツ語は浪人時代から始めて、 まずは独検3級(A2レベル)の勉強からはじめました。ドイツ留学ラボの独検3級対策のページを参考にしながら勉強しました。

最初は単語帳を使って語彙力をあげる

まずは本屋に行きクラウン社の「ドイツ語単語1600」を購入し、1日50単語ずつ覚えました。さらに前日にした50単語を合わせて、合わせて100語に目を通していました。

1日に暗記する単語の数は人によりけりです。受験時代は1日100語している猛者もいましたし、少し無理するぐらいの語彙を設定してください。復習の際に単語の意味がわからないときはチェックをつけて、その翌日も復習するという感じです。復習の際にすぐでてきたときは丸印をつけてその単語にはもう目を通しません。

使っていたドイツ語単語帳/写真提供:よし

そのあとは知らない単語が出てくるごとにルーズリーフにドイツ語の単語と日本語の単語を並べて書き自作で単語帳を作り電車などの暇な時間に目を通していました。

文法のスタートは東外大の言語モジュールで

まずは東京外国語大学の「東外大言語モジュール ドイツ語」のホームページで大体の文法を勉強したあとは、独検公式が出版している早速「独検3級過去問題集」を購入して、文法の部分を解きました。

本当に理解できないときは、インターネットで調べたり、アプリの「Hello talk」や「Tandem」を使いネイティブに聞いたりしていました。

日本語が勉強したいドイツ人なら快く答えてくれます!

長文読解はある程度語彙力と文法ができるようになってから

あらかた語彙や文法ができてきたなと思ったら、長文を解き始めました。最初のうちは厳しいなと感じると思いますが、解いて答え合わせをしたあとは、理解できなかった語彙は全て先ほどの自作単語帳に書き、わからなかった表現は先ほど同様インターネットを使い網羅しました。

独検3級の長文に出てくる語彙や表現は基礎中の基礎なので理解できるまで脳に落とし込むようにしましょう。(もっとレベルが上がれば、長文の内容を全てを完全に網羅する必要はないと思います。)

リスニングはシャドーイングで慣れる

自分は長文を始める時期と同時にリスニングの勉強も始めていきました。最初のうちは苦労しましたが、先ほど紹介した参考書にはリスニングのスクリプトがついているので、シャドーイングをして少しづつ慣れていきました。

シャドーイングは聞こえてきた音と同時に自分でも口に出して被せていく学習法です。

これでドイツ語に耳も慣れていきます。シャドーイングについて詳しくは、シャドーイングで検索してみてください。多くの場合は英語学習法として紹介されていますが、何語を勉強する場合でも有用です。

ドイツ語3級のあと(独検準2級(B1)以降)

語彙力は自作の単語帳で

何か新しく見たり聞くたびに自作の単語帳に記入してください。あとは暇な時間に見るだけです。自作の単語帳にも×〇の記入をしていきます。

当時使っていた自作単語帳/写真提供:よし

文法はドイツ語で書かれている文法書が良い

B1以降になると日本語で書かれていて有用な参考書がなくなってくるので、ここからはドイツ語で書かれた参考書を使い始めました。「Übungsgrammatik für die Grundstufe Arbeitsheft, Regeln, Listen, Übungen Niveau A2-B2」で文法を完璧にしていきました。

この参考書はドイツ語で説明されていますが、今後ドイツの語学学校にいくともちろん文法もドイツ語で説明されるので、日本にいるうちからドイツ語での文法用語にも馴染んで行った方が賢明です。

書き込みで実践的で、ドイツ語を書く良い練習になりました。ドイツ時代の語学学校でもたまにこれのコピーをもらうぐらい、ドイツでも有名な教科書です。

映画や音楽よりもリスニングはユーチューブで勉強するほうが良かった

A2に合格したあたりから、少しドイツ語というものがわかるようになってきます。お気に入りのドイツの映画、音楽を探してください。

僕はあまりそれらが好きになれなかったので、ひたすらドイツ語でYoutubeを見ていました。初心者におすすめは断トツで「Easy German」です。

ドイツ語の字幕と同時に英語の字幕が流れてきて、わからない単語が出てきても瞬時に意味を理解できます。内容も面白く、C1に合格した今でもたまに見ています。

スピーキングはタンデムとオンライン授業

ドイツに留学したい、仕事をしたいとおもっているならば、会話は必要不可欠です。僕はFacebookのTandemのグループでタンデムパートナーを探し出して、週に1回彼とタンデムパートナーとして話していました。僕は中都市に住んでいたので、なかなか日本語を勉強中のドイツ人などいないのですが、見つけられたのは幸運でした。

町に住んでいたりするひとは、オンライン会話も試してみてください。僕は日本にいたとき、タンデムとオンラインの授業のダブルで会話を練習していました。自分が使っていたのはItalkiです。

1時間1000円弱でプロの授業を受けられるのでおすすめです。自分は英語に頼っているところもあったので、あえて英語が話せない先生を選んでいました笑笑

ドイツ大学入学に必要だったセンター試験の受験科目と高校時代に取得した授業内容について

センターの現役時代のスコアの方が浪人時代のよりも少しだけよかったので、現役時代のスコアをドイツの大学には提出しました。

自分が希望する学科に必要なセンター試験に科目を受験して成績が62%以上であれば、出願資格を満たします。 高校のうちからしっかり勉強すれば、このラインは楽に突破できると思います。

逆にこのラインを超えれなければドイツの大学を卒業するのは難しいということです。

誰がどういう基準でこの62%というラインを決めたのは謎ですが笑

ドイツで情報学を専攻したいのであれば一般的に、日本のセンターでは国公立の情報学を受験するのに必要な科目を受験するようですが、正直不確定要素が多いので、「この学科に入学したいなら、このセンター試験科目を受験するべき」と言い切る事ができません。

参考までに自分が受験したセンター試験の科目を載せておきますが、 来年からセンター試験も廃止になるそうなので、今後のドイツ大学入学に必要な試験が変わる事も考えられます。なのでドイツ正規留学についても「高校を卒業してすぐに入学する!」と一本に絞るのではなく、日本の大学に一度入学してから中退してドイツの大学に入学、大学院から入学など、いくつかの保険の道も考えるようにしてください。

センター試験時に受験した科目(ドイツ大学出願時に提出したもの)/写真提供:よし

ドイツの大学入学にはセンター試験のスコア以外にも、高校で取っていた授業の内容も確認されます。高校の授業科目に関しても「どの授業を取っていれば良い」と言い切る事はできないので、こちらも自分が高校生の時に取得した授業の一覧を掲載しておくので、参考にしてみてください。

右の欄に数字が書いてある科目が自分が高校時代に取得した単位(Credit)です。(ドイツ大学出願時に提出したもの)/写真提供:よし

その他:出発までに準備した事

ドイツに到着してからは学校が始まったりと忙しいので、出来るだけ日本で準備しておき、ドイツですることを少なくすることをお勧めします。

銀行口座は日本にいる間に準備しておいた方が良い

普通預金口座と閉鎖口座の2種類を作る必要があります。ドイツ銀行などの現地の窓口でも口座開設することができますが、僕がお勧めするのは日本にいる間にドイツで使えるネット銀行で開設してしまうことです。

僕は普通預金口座としてN26と閉鎖口座としてExpetrioを利用しています。

公式認証?(ドイツ大学に正規入学したい方向け)

Beglaubigunug(独:べグラウビグング)とは公式認証のことで、この書類は正式なものであるという印です。

Beglaubigungは東京や大阪近郊に住んでる方は大使館などで済ませておきましょう。自分はUniassist(独:ウニアシスト)を利用していない大学へ出願したのでする必要はありませんでした。(少なくともLMUでは学校ごとの印鑑がある国(日本と韓国)では学校の英語翻訳成績表がある場合は必要ありませんでした)

他の大学を志望している場合(ドイツのほとんどの大学はこちらに当てはまります。)は、安全策としてBegaubigungしてもらっておきましょう。

少なくともミュンヘンの役所では英語の成績表をBeglaubigungしてもらえません。気をつけてください。。。。

語学学生は事前に入学証明書をコピーしておくと良い

自分はネットで語学学校の申し込みをしたあと、ネットで語学学校の入学証明書をコピーしておきました。

これは語学学生ビザの発行にも必要ですが、入国する際も必要な場合があるからです。自分は行きの飛行機のチケットしか買ってなかったので、入国審査官に怪しまれ、語学留学のためにきたことを証明しなければいけませんでした、、笑

なので、一応コピーしておいた方が良いです。

出発前に保険も入っておく

語学学生の間は、プライベート保険で基本的に大丈夫です。僕は比較的健康なので最安値のCareConceptを使っていました。

サービスも申し分なくておすすめします。正規学生になると公的保険(月々1万円程度)が必要になるので、保険を変える必要があります。そちらの保険については、大学入学直前に各自ウェブサイトで調べてもらえればと思います。

クレジットカードとデビットカードについて

ドイツに住み始めてから日本のカードが必要になっても作れないとよく聞くので、日本を旅立つ前に少なくとも1つ作っておくことをおすすめします。

おすすめなのはデビットカードなら学生でも持てるし、借金する心配もなくクレジットカードと同じように使えるのでおすすめです。

自分はソニー銀行のデビッドカードを持ってます。円口座と同時にユーロ口座も持てるのでおすすめです。

Transferwiseは外貨交換に便利

語学学校の申し込みや、閉鎖講座への初期振り込み、またドイツで普通預金口座を作った後に使える、日本にある口座内の円から手数料安く、海外の口座の外貨に変えてくれるサービスです。自分が参考にしたページです。

よしさんのコメント

これからドイツ大学進学を目指す方には出来るだけ遠回りをして欲しくなく、いろいろ自分の経験やアドバイスをつめ込んでしまいましたが、どうでしたか?

こちらで紹介した事が少しでも皆さんのお役に立てば幸いです。

次回は、ドイツに到着してから語学学生としての生活、在独中に苦労したことなどをシェアしていければなと思っています。

出発から入国のトラブルなど、現地での語学学校生活を振り返る:高卒の自分がドイツ大学に合格するまでの記録

4月 16, 2020

筆者:よし (@yossy_Deu) /編集:井上誠志



1 個のコメント

  • とてもわかりやすい記事で参考になります。ありがとうございます。

    僕もドイツの大学に入学(交換留学等でなく正規留学)を考えているのですが、相談があります。
    僕は現在、大学入試を終えて第一志望の大学には不合格で、後期の国立を受けておそらく合格したと思うのですが、そこで1年間日本の大学に通ってからドイツの大学を目指すのか(いわゆる仮面浪人のような形です)、それとも日本の大学に行かずにドイツの大学を目指すのかを悩んでいます。
    センター試験の結果はほとんど全ての教科で62%を超えているのですが、唯一、数学2/Bで数学2を解いてしまいそこだけ54%です。それだと入学基準を満たすことができないかもしれないので、日本の大学で1年間学び単位を取得してドイツの大学を目指すことを検討しています。
    いきなり不躾な相談で申し訳ないです。長文失礼致しました。

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