こんにちは。ドイツ留学から帰国したオランジェ(orange)です。
2018年の夏にドイツのポツダム大学で実施されているサマーコースに参加してきました。留学というと半年から1年の長期留学や語学留学などが一般的で、大学が主催しているサマーコースなどはあまり知られていません。
長期留学に比べて1ヵ月のサマーコースは短いかもしれませんが、留学前の準備から滞在中の過ごし方を工夫することで長期留学にも負けないくらい有意義な留学生活を送る事が出来ます。
今回、「サマーコースっていったい何?」「ドイツ語は上達するの?」などの疑問や、実際に参加したプログラムの感想以外にも、私が短期留学を有意義に送るために準備した事を紹介できればと思います。
ポツダム大学のサマーコースに参加したきっかけ
初めてドイツに行ったのは、自分が所属する大学が主催する海外交流プログラムでした。
そのプログラム後に、自分のドイツ語能力を更にブラッシュアップさせた上でドイツ社会をもっと知りたいと思うようになりましたが、学期単位での交換留学や学位取得目的での正規留学をする余裕はなかったので、短期間で学べるサマーコースへの参加を検討しました。
ドイツでは様々な大学が夏期にサマーコースを開講していますが、その中でも、自分のドイツ語レベルに合い、適度な学習負荷をかけることができそうな、ポツダム大学のサマーコースに応募しました。
サマーコースでは一体何を学ぶのか?
このサマーコースは、ポツダム大学(ブランデンブルク州・ポツダム)で開催されている夏期プログラムです。
このプログラムは3つの部分から構成されます。「外国語としてのドイツ語」(DaF)のクラス(発音クラスを含む)、セミナー、プロジェクトワークです。DaFのクラスはレベルチェックテストの結果に応じて割り当てられます。
セミナーは4つの中から複数選択、プロジェクトワークは3つのうちから1つ選択します。
サマーコース主催のドイツ語コースは質・量ともに高かった。
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私はレベルチェックテストの結果、一番上のDaFクラスでした。当時のクラスメートのレベルは、B2からC1がボリューム層であるように感じました。
一部の参加者は既にC2レベルに到達していました。ドイツ語を学ぶというよりも、ドイツ語をどう使うか、という方に力点が置かれていた気がします。
授業は、自己紹介やそれに基づく相互の質問、短いテクストの読解問題など、比較的簡単な内容から始まり、次第にDeutsche WelleのVideo Themaの視聴及び問題演習、与えられたテーマに対してのクラスでのディスカッションなどが中心となっていきました。授業全体を通して、ドイツ語で議論ができるための要素が散りばめられていました。
具体的なドイツ語の知識としては、議論の際に使用するドイツ語表現(同意する、反論する、聞き返す、部分的な同意・反論、意見の付け足し等)、引用表現(接続法、助動詞)、報道等で用いられるNomen-Verb-Verbindung(C2レベルのもの)、コロケーションなどを取り扱いました。
個人的に大変だった点は、クラス全体でのディスカッションでした。クラス全体でのディスカッションの前のステップとして行う、2,3人でのペアワークとしての議論は何とかなりました。
というのも、クラスメートの前で話す緊張感や与えられたテーマについて議論するために必要な語彙が出てこない焦りに直面しつつも、相手の主張を聞きながら自分の主張の論理構成と反論を考えなければならなかったためです。
また、多くのクラスメートはドイツ語以外のヨーロッパでの言語を話すことができ、議論の型も身につけていました。ドイツ語も流暢に話すことができます。そうした彼ら・彼女らの前で議論するのはとても緊張しました。
また、Nomen-Verb-VerbindungやコロケーションもC2レベルのものを扱っていたせいか、事前に宿題として解いたり調べたりしても、いくつも別解があるなど、独和辞典に掲載されていない用例が大量に出てくるなどということもありました。
「ドイツ語の表現として自然かどうか」が鍵となる部分なので、自分で調べる・解答案を複数用意していくという作業を事前に行った上で、授業内で質問することが重要だと思います。
そうすることで、「ドイツ語として自然な表現かどうか」や「その言い回しが使われるべき文脈」を確認することができるからです。
ドイツ語コースだけじゃない。グループワークで得られる苦労と達成感。
選択した2つのセミナーでは、1つが講義中心、もう1つがグループワーク・発表中心の授業でした。困難だったのは前者のセミナーです。
1回の授業が約180分だったのですが、それだけの長さの講義を理解しつつ、ノートを取るのは初めての経験でした。サマーコースの前の学期には、講義の関連テーマを事前に学習していきましたが、それでも難しかったです。
その理由を1つに還元することは困難ですが、専門的なテーマなので論理展開を予想することが難しい、専門用語が多い、ドイツ語でのノートテイキングの訓練不足などが挙げられます。なおかつ、受講者から質問が出て、授業の本筋とは話が違う方向に行った時は、思考が混乱して大変でした。
一方、後者のセミナーではある程度自分でどうにかできました。授業の最後の方であるテーマについて1人で発表する機会があったのですが、入念に準備をしてドイツ語を流暢に話すことのできるクラスメートたちの前でプレゼンテーションをやりきることができたのには大きな達成感がありました。
滞在期間中のポツダムでの過ごし方
サマーコースの間は、大学の学生寮に住んでいました。寮と授業が行われる建物との間は徒歩で約5分程度なので、通学は非常に快適でした。
多くの場合、午前中にDaFクラス、学生食堂で昼食、午後にセミナーといった1日です。授業後は図書館で自習をしていた日もあれば、観光に出かけた日もありました。
夜は寮の庭で友人たちと喋っていました。ポツダムには城が沢山ありますし、ベルリンまでそう遠くもないので、ベルリンの博物館を見学したりもしました。
ドイツ到着日にベルリンABC地区の1ヶ月定期券を購入したので、移動に困ることはありませんでした。週末や平日夜にはチューターの学生が担当するイベントなどもあります。ハレ・ヴィッテンベルク(Halle-Wittenberg)などにも遊びに行きました。
充実した留学生活を送るために必要な事。
2つあります。
1つは、自分のドイツ語レベルに見合ったコースを選択すること、もう1つは日本でできる限りの準備をすることです。
まず1つ目については簡単すぎても難しすぎても、自分のドイツ語をレベルアップすることに繋がらないです。簡単すぎた場合はどうしてドイツまで来て夏期講座に参加しているのかが分からなくなりますし、難しすぎた場合は、逆に何も理解できずに帰ることになっています。
レベル選択に際しては、「このレベルに達するまでもう一踏ん張り」というレベルを選択すると適切な負荷がかかって学習効果もあるのではないでしょうか。
2つ目については、「ドイツでしかできないことを学ぼう」ということです。
例えば文法学習がその典型ですが、これについては日本でも様々な参考書が出版されていますので、文法の基礎的な部分は日本で勉強を済ませた方が良いと思います。
日本でなかなかできないことといえば、実際にドイツ語で話すことです。これには単なる「おしゃべり」も授業内での議論も含まれます。日本にいるときに、日本語母語話者間においてドイツ語で話す場合は、それがドイツ語として成立していなかったとしても、ぼんやりと相手の言いたいことがわかったりします。
一方、ドイツのサマーコースには世界各国から参加者が集まりますし、きちんと意思疏通ができることというのはそこまで簡単なことではありません。日本でできる限りの知識をインプットし、ドイツではその知識を如何に活用するかということに力点を置くと、より意味のあるサマーコースになるのではないでしょうか。
最後に
1ヶ月のサマーコースというと、とても短いように感じられます。しかし、事前にできる限り多くの準備ができれば、その密度を濃くすることはいくらでも可能です。
ここでは紹介できなかったプログラムの詳細や詳しい日程などはポツダム大学の公式サイトに記載されています。サマーコースは学期末休暇の間に開催されるので、興味のある方は是非チャレンジしてみてください。
筆者:オランジェ/編集:井上誠志
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