シュトゥットガルト国立造形美術大学に在学しているさく-さくら(Instagram)です。
私は現在、ドイツの美術大学で建築学を専攻しています。
建築学科の学生として日々課題やゼミに追われたりする事もあり、楽しい事ばかりではありませんが、日々充実した毎日を送れていると思います。
そんなわけで今回、改めて私がドイツ留学に来たきっかけや道のり、大学生活の様子を紹介しようと思います。
これから海外の大学に進学してみたい!勉強してみたい!と考えている方の助けになれれば嬉しいです。
私がドイツ留学に行くきっかけと出発するまで
ドイツ留学のきっかけですが、はじまりは建築士である父の仕事で幼い頃に家族でドイツに移住し、シュトゥットガルトにあるの幼稚園に通っていた事です。
当時は幼いながらも、日本に帰国してからも「大人になったらいつかまたドイツに行きたいなあ」とぼんやりと思いながら暮らし、京都造形芸術大学の建築学科に入学しました。
大学で建築を学んだり、卒業研究でドイツに関連するテーマに触れながら、当時まだぼんやりしていた
「ドイツ留学に行きたい!」という気持ちがはっきりしてきて
「卒業した後はドイツの大学院で勉強しよう!」と決めました。
ドイツ留学を決意してからは、ドイツの大学に通う学生にブログを通じてコンタクトをとったり、大学にいたドイツ人の先生にドイツで学びたいことなどを相談して自分なりに大学情報を集め、大学4年生には情報収集や語学力UPのために夏休みを利用してベルリンに1ヶ月間の語学留学をしたりもしました。
ベルリンの語学学校ではホームステイで、そこのホストファミリーも温かく迎え入れてくれてまだコミュニケーションがうまく取れない私を優しくサポートしてくれましたし、語学学校ではクラスみんなの仲が良く、毎日を楽しく過ごすことができました。
ドイツの街並みもとても素敵で食べ物も美味しくて「こんな素敵なところで毎日を過ごせたらどんなにいいだろう。」と思ったのを覚えています。
語学留学から帰国した私は以前にも増してドイツ進学への思いも強くなり、より具体的に通うべきドイツ語学校や必要な書類など合格までのプランを計画していきました。
そうして、色々と悩んだ末、大学院受験までの期間、足りないドイツ語力を補うために語学学校に通う事にしました。
「せっかくならすごく素敵な街に住んでみたい!!」と思い留学先はハイデルベルクにしました。
ドイツ留学に出発してからは、ハイデルベルクにあるドイツ語学校など、いくつか通い何とかドイツ大学入学に必要なC1レベルまでのコースを無事修了することができました。
私がドイツで大学生になり、そして中退するまで
こうして私は無事ドイツで大学生になった
私がドイツに行って勉強してみたかったことの1つにドイツの代表的な教育システムであるシュタイナー教育について学んでみたい!という思いがありました。それは日本で大学在学中に研究していた建築は教育との関連性も深
ハイデルベルクの語学学校在学中に、いろんな大学の情報を集め
「本場ドイツで学ぶならここしかない!!」
と選んだのがシュトゥットガルトにあるシュトゥットガルト自由大学です。
ドイツに着いた次の日に以前から連絡をとっていた在学生の方に大学キャンパスを案内していただき、事務局の方と大学入試について質問できる機会を設けてもらうなど入学準備に取り掛かりました。
入学に必要だった応募用紙、履歴書、語学力証明書、志望動機書、健康保険加入証明書など比較的早めに準備することができました。
予想外だったのは入学試験です。
事前に大学から送られてきたメールに「入学試験は主に面接」と書かれていたので、あらゆる質問にスムーズに応えられる様に何度も練習をし、準備は万端!
当日も2回ある面接に自信を持って答えることができました。
しかし面接が終わりホッとしていたらまさかの筆記試験…
しかも内容は詩人フリードリヒ・リュッケルトの詩を読んでA3用紙に感想文を書きなさいというもので、あの様な試験が出るとは思っていなかったので相当焦りましたね。
正直、なにを書いたか思い出せません(笑)
試験はあまり自信がなかったので合格通知書が届くまでは不安でしたが、1週間後に合格通知が届き、結果は大学に1年生の基礎クラスに合格。
こうして私の念願のドイツでの学生生活が始まりました。
ドイツの大学に入学して
大学が始まってみるとまず朝早いのが辛かったです。
通っていた大学では8時から授業が始まるので7時半には学校に着くために、毎朝6時に起きてまだ暗いうちから学校に向かっていました。
住んでいた場所が少し大学から遠かったというのもあります。
授業は朝8時から夕方17時まで授業がみっちり詰まっていて、もちろん課題もあって、家に帰ったら復習して予習して…
とくに1年生で主となる哲学の授業はなかなか予習しきれなくて本当に朝から夜中まで丸1日中勉強している感じでした。
授業は興味があるものばかりでとても面白かったのですが、それと同時に100%理解できないもどかしさもありました。
友達に質問したり、持ち帰って調べたりして人より課題に何倍も時間がかかるのでかなり大変で夜寝るのが遅くなる日もたくさんありました。
とにかくドイツで大学生活を送っていくのは想像していた何倍も大変でした。
私は大学を中退した
シュトゥットガルト自由大学はいわば教員養成学校で、大学に通う学生は皆、将来教師になることを目標としています。
私は建築の勉強がしたくてドイツにきて、建築を学ぶ上でシュタイナー教育に興味を持ってこの大学を選んだので、入学試験の時に私の志望動機の中の〝教師を目指さない点“ にかなり指摘を受けていました。
ある時大学の先生に
「将来、建築の仕事がしたいのであればあなたが入るべき大学ではないかもしれませんよ」
ときっぱりと言われてしまいました。
とにかく学びたかった新しい分野だったし、この学校でしか学べないと思っていたので強い意志を持って学び始めたつもりでした。
実は入学前に大学から、日本の大学で全く教育という分野を学んだことがなかったので、大学院の入学試験を受けたのに大学1年生と同じ授業を選択することを勧められ、2年後に大学院の授業を受け始めるという条件で入学しました。
普通の大学院よりも倍以上の時間がかかってしまいますが、それでも基礎から学べる機会なので、
しかし入学してみると、同級生がついこの間まで高校生だった学生だということ、まだ20歳になっていない学生たちとうまく馴染めていない感じはあり、そこが少し窮屈に感じていました。
それに授業を受けていくにつれて、教育実習などもあり
「このまま教師になるための勉強を続けていていいのだろうか。しかし自分が教壇に立ってドイツ人の生徒たちに数学や文学をドイツ語で授業をしている姿が全く想像できない。」
と思うようになりました。
自分が卒業後、どこでどんな仕事をするかをしっかりもっと考えるべきだったのだなと思い、先生と何度も相談し私はここで中退して再チャレンジする道を選びました。
私はもう一度ドイツの大学に入学した
中退した私がもう1度、新たに大学に入学するまで
将来のことを念頭に置いてもう一度、今度は大学院建築学科受験を決意し、準備を始めましたが今度は最初の大学受験以上に大変でした。
まずつまずいたのがビザの申請で留学生が全く違う学科の大学を受け直すというのはまれらしく、入試を受けるという証明書だけではビザ申請時に仮ビザを発行してもらえませんでした。
ビザが切れるのが先か、大学院に合格できるのが先かという本当にギリギリの状態でした。
大学院入試の方の必要書類は応募用紙、履歴書、健康保険加入証明書、成績証明証、インターン証明証、志望動機書、C1以上の語学証明証、写真などに加えて1次審査でMappeと呼ばれる自分の作品を集めたポートフォリオを20作品提出しなければなりません。
ドイツ語に翻訳し、20作品をまとめ、レイアウト、製本などをしなければならないのでこれには随分と時間がかかりました。
1次審査は時間をかけて準備したおかげで、何とか合格することができましたが、この審査で大多数が落とされたそうです。
2次審査は1次試験通過の連絡とともに課題が出され、設計デザイン、模型、プレゼンボードを1週間で仕上げなければなりませんでした。試験当日は午前中がスケッチと即日設計課題、午後に1人15分ほどの課題のプレゼンと面接を行います。
プレゼンは練習していても5人の教授に予想外のいろんな質問を投げかけられるのでその対応がうまくできるかずっと緊張していました。
その試験も何とか終えましたが・・・
ビザが切れれば帰国しなければならない状態だった中、合格通知は1ヶ月を過ぎても一向に届きませんでした。
他にも難関と言われているミュンヘン美術院の大学院建築学科の研究室を受験していて、そちらが先に合格していたのでシュトゥットガルトの大学から返事を待つ間にミュンヘンに引っ越す準備を始めていました。
ビザ締め切り前にミュンヘンの合格通知票を持参し、仮ビザを発行してもらいミュンヘンの学生寮に申し込みをしてからしばらくしてシュトゥットガルト国立造形美術大学の合格通知が届きました。
信じられないまますぐに家族に連絡すると私より喜んでくれて、そこでやっと実感が湧いた思い出があります。
日本の大学在学中から応援してくれていたゼミの恩師に連絡して結果を伝え、どちらに進学するか散々時間をかけて悩みましたが、私の原点はシュトゥットガルトだったのでミュンヘンへの引越しを取りやめてシュトゥットガルト国立造形美術大学の大学院建築学科に入学しました。
シュトゥットガルト国立造形美術大学で学ぶ私の大学生活
シュトゥットガルト国立造形美術大学の大学院建築学科に入学してからは毎日がすごいスピードで進んでいます。
とにかく毎回の授業での課題が山のようにあり、課題提出時に教授から辛口コメントをもらってはデザイン案が白紙に戻ることが毎週のようにあります。
ドイツの大学院の学生になってみていつも思うのは、みんなすごく勉強するということです!!
課題締め切り前には寝る時間も十分に取れずたまに立ったまま寝てしまうこともあるくらいです。ここでは廊下で同級生たちが図面とともに寝ていたりする光景も珍しくありません(笑)
大学院の講義は選択制ですが、授業以外は主に自分が所属している研究室で毎日を過ごします。
私が所属する研究室ではゼミ生に一人ずつ自分の机とロッカーがあるので、制作したり、作業したり課題に取り組みやすい環境になっていて、ゼミ生も少人数なので学年関係なく和気あいあいとした雰囲気です。
さらに研究室では毎学期はじめに研修があり、イギリスやオーストリア、スイスなど主にヨーロッパに1週間ゼミ生たちとともに過ごし課題に取り組みます。
アフリカやアジアなどヨーロッパ以外の国で仮設住宅を建てたり、学校を建てたりする大きなプロジェクトなどの授業も選択すれば参加することが可能です。
講義は少人数なので教授との距離が近く、質問も気軽にできるのですが常に自分の意見を述べないといけない
勘違いをして的外れな質問や回答をしてしまうなんてことは結構頻繁にあるものです。
講義はドイツ語だけでなく「今日は交換留学生多いから英語で授業しようか」など急に英語の授業になったりするのでドイツ語、英語の両方で十分なコミュニケーションが取れるのが大前提のようです。
もう少し流暢にドイツ語が話せたら…
もっと英語が話せたら積極的に他国のプロジェクトにも参加できるのに…
などと思いながら、今はまだひたすら空いている時間や休憩時間などを使って語学の勉強を続けている状態です。
学生生活は大変なことはたくさんありますが、しかし毎回の課題を提出したあとは凄く達成感があり、それに今は自分がやりたいことを常に意識するようになったので充実した毎日を送れているのではないかと思います。
これからドイツの大学で建築を学ぶ方へ伝えたいこと
建築を学んでいる学生さんで、留学してみたいと考えている方がいるならドイツは本当に素敵なところだと思います。留学したいけど少しでも不安なら、まずはどんなことでもいいのでいろんな情報を集めてみることです。
大学の情報、費用はいくらかかるか、都市の雰囲気、ドイツ人の人柄、学食が美味しいとかでもなんでもいいです。
たくさん情報を集めてみてください。人に質問してみる、本を読んでみる、インターネット、ブログなどにもたくさんの情報があります。
試しに旅行や短期の留学に行ってみてもいいと思います。留学生が海外で生活することは想像以上に大変なことですが集めた情報はきっと生活していくうえですごく助けになると思います。
少しでも自分のモチベーションが高くなるようなところを選んで、「私はドイツでこれがしたい!」という目的を持っていれば、あとは結構なんとかなるものです。
苦しいこともあるかもしれませんが留学生活楽しいことも山ほどあります。いろんなことにチャレンジして頑張ってください。
著者:さく‐さくら(Instagram)/編集:井上誠志
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