ドイツ留学体験談の第10弾は働きながらドイツ大学院で学位を取得したBlytheさんです。ドイツの会社にフルタイムで働きながら、勤務後は大学の授業、その後夜中まで図書館で勉強するストイックな留学生活を3年間送ったBlytheさんの留学体験談は働きながら海外で学位を取得したい方に大変おすすめです。
ニックネーム:Blythe
留学先:Fom Düseldorf大学
日本ではなくドイツで修士号を取ろうとしたきっかけ
修士号を取得しようと考えた時には既にドイツで5年ほど勤務経験があったので、修士号を取るために日本に帰国する事は考えていませんでした。
なので自分の中の選択肢としてあったのはドイツ国外に出て留学する、ドイツ国内でフルタイムの学生になる、または勤務を続けながら社会人大学生になるかの3択でした。そして実際にMBAツアーやスペインのビジネススクールに参加してみたり、DAADからドイツ大学の修士コースを調べオープンキャンパスを体験すると同時にキャリアや、ビザ、資金面の検討をした結果…
当時の仕事を続けられるデュッセルドルフにあるFom Düseldorf大学の修士コースに入学しました。
働きながら通えるFom Düsseldorf大学ってどんな大学?
私が修士号を取ったFOM Düsseldorfは、ドイツ国内で大都市を中心に29都市でキャンパスを持つ、社会人向けの私立大学で、他の州立大学と同様に学士号、修士号、博士号を取ることが出来ます。
修士入学条件ですが大きく分けて3つの物や条件が必要になります。
- ドイツで仕事している事
- ドイツの語学証明書(C1以上)※コースによっては英語資格の証明も必要
- 学士の修了証明書
まず最初に重要なのが仕事に従事して事です。こちらの大学は一般的な州立大学とは異なりフルタイムではなく、全てパートタイムなので平日の勤務後の時間帯及び、週末のコースになります。
そのため入学時に働いている事が前提となり、特にEU圏外からの外国人はドイツには労働許可証等で滞在している必要があります。働いている方向けの大学なので学生ビザは別途必要ありませんし、逆にここ大学に入学する場合にも学生ビザを別途申請することも出来ません。
2つ目の条件はドイツ語圏以外からの外国人はドイツの語学証明書(C1以上)を提出することです。英語のMBAコースの場合は、別途TOEIC,TOEFLのスコアの提出が必要になります。
そして最後に学士の修了証明書が必要になります。私の場合は、日本の大学の卒業証明書、成績証明書が必要でした。外国語学部時代の学士とドイツで入学希望の修士コースの専攻科目につながりがなかったため、学士レベルの経済知識が既にあるという証明として習得していたドイツのビジネス職業訓練修了書(2年)と、約10年の企業における勤務経験が考慮され、ファイナンス系の学士号がなくても、ファイナンス系の修士号コースへの入学が許可されました。
Fom Düsseldorfの修士号を取得するうえで一番印象に残った思い出や苦労した思い出
FOM Düsseldorfの修士課程の授業が勤務終了後の18時から始まります。デュッセルドルフ郊外の勤務先から、約1時間で移動し、スーパーやインビスで簡単な夕食を持ち帰り、18時迄に教室の机の前に居なければならず集中力が途切れそうになる事も何度もありました。
特にフルタイムで勤務した後にさらに約3時間の集中力を持続するのも仕事で疲れている日には大変でした…大学の授業がない日は、勤務後に真夜中迄開いてるデュッセルドルフ大学構内にある大学図書館に通って予習、復習、レポートなど課題に取り組みました。こういった生活が約3年続きました。
実際授業があるのは、3ゼメスター(1年半)で残りの1ゼメスター(半年)を修士論文の執筆に充てるのが通常の流れですが、合計2ゼメスター迄無料で延長することが出来ます。私は、その無料延長(追加授業料が発生しない期間)をフルに活用し、仕事、学業、プライベートの時間のバランスを取りながらマイペースで両立することができました。
ドイツの大学院を卒業して感じるメリット・デメリットはありますか?
実際にドイツで働いてみて感じるドイツ大学院卒業のメリットはキャリアアップや転職が有利になることです。
ドイツの企業は学歴社会で、専門的な職業訓練(Ausbildung)や、学歴によって職業が分かれている面があります。大卒でなければ就けない職種なども多々あります。現在の学士、修士のシステムに代わる前は、ドイツは長らくディプロマ(Diplom=Masterに相当)で卒業するのが慣例となっていたため、ドイツの一般的な大卒レベルに合わせるには修士号を習得している必要があります。
また転職をしたい場合、現在の職務もそうですが最終学歴も考慮されます。日本の学士の卒業資格のままですとドイツでのキャリアアップに不利だと考えて修士習得を考えるきっかけになりました。またドイツの大学を出ているとドイツ国内における転職の際にスムーズに行く印象を受けます。
ドイツ進学のデメリットですが、ドイツ語のレベルが不十分で入学した場合、授業を理解する、発言する、テストを受ける、レポートを作成する際に不利になる事があります。
大学は、語学学校とは違って語学を勉強する為に入学するのはないので、入学以前にドイツ語で十分に学べるだけのレベルに到達していることが重要です。語学の問題で、本題の理解が深まらない場合はデメリットと言えるでしょう。
- キャリアアップや転職が有利になる!
- ドイツ国内の転職もスムーズ!
- ドイツ語レベルが不十分だと入学してからが大変…
これからドイツ留学する方に伝えておきたい事
ドイツでの生活費ですが、どこに留学するかによって同じドイツでも掛かる費用が違ってきます。ドイツの大都市(ベルリン、ハンブルク、ケルン、フランクフルト、シュツットガルト、ミュンヘン)などは近年家賃や生活費が上がり、こちらの都市への留学は、その他の地方都市に比べると高くなりがちです。
こちらの大都市での生活費は800~1000ユーロ/月を見積もっていた方がいいと思います。レジャーではなく学業に専念する事や、生活費の事を考えるとドイツへの地方都市(ライプチヒ、ハイデルベルグ、ブレーメンなど)への留学を考慮するのもいいと思います。
特に「社会人だけどもう一度大学で勉強したい!」という方にはおススメのドイツ留学かもしれませんね。
著者:Blythe/編集:井上誠志