こんにちは、ニーダライン単科大学に在学中の井早由(instagram)です。
前回の記事では、私が高校を卒業後、大学から入学許可を頂くまでの道のり中心に紹介しました。
ようやく一学期目の試験や課題に一区切りつく事ができました。
少し時間ができたので、今回はドイツ到着後に焦点を当てて、日常や大学生活で苦労した事など、また私が通っているニーダーライン単科大学ついて、そして一学期目の授業や実験、試験期間の様子について振り返ってみました。
ドイツ語に不慣れな私が到着してから大変だった事(主に生活面で。。。)
私は授業が全て英語で行われるコースを選んだので、「まぁ、そこまでドイツ語を勉強しなくてもいいや」とドイツ語の基礎だけを独学で勉強してドイツに渡りました。
友達からも「ドイツ人は英語が話せるから大丈夫でしょ。」と聞いていたこともありドイツ語ができないことに関しては特に気にしていませんでした。しかし、いざ大学に到着してみると、現地の言葉が喋れないせいで大変な目に合う事に。。。
1番のトラブルは、入国後に行う学生ビザの申請や銀行口座開設準備などの手続きでした。
大学のキャンパスがあるメンヒェングラートバッハ(独語:Mönchengladbach)の街には日本人がほとんど住んでいないせいか、その地域には日本人がビザなし(90日以内の観光または出張の場合)でドイツに入国できることを知らない人や、そもそも規則で学生ビザがないと銀行口座を開けないところなどあり、たらい回しにされることが多く、ビザ発行までとにかく時間がかかりました。
また、ビザの申請や住所登録の際は担当の人に「英語でもいいですか?」と聞くと、「いいえ、ドイツ語で。」と言われるなど自分では何もできませんでした。
運よく、留学のきっかけになった日独ハーフの友達(詳しくは前の記事で)が1週間、寮に入る準備などを含めて手伝いに来てくれたので何とかなりましたが、彼女が帰ってしまったらどうしよう。。。と内心はとても不安でした。
もちろん、1週間で全てのことが終わるわけもなく結果的に、学生ビザをもらえたのはビザなしで滞在できる期間(3か月)ギリギリに。
ある程度ドイツ語を話せていれば、こんなに期限直前にならなかったと思うと、やはり、A2からB1程度の語学力は必要だったと思います。
大学のサービスも基本英語だけで大丈夫なのですが、大学からドイツ語でメールが来たり、大学や学科ウェブサイトの一部ではドイツ語でしか説明がないこともあるので、未だに不便を感じます。
一学期目を振り返る前に、私が通っているニーダーライン単科大学を紹介
ニーダーライン単科大学は繊維の街で有名なメンヒェングラートバッハとクレーフェルト(独語:Krefeld)にキャンパスがあります。
私の学部以外も9つの学部があり計80以上のコースから選択することができます。全体の学生数は約14,200人になり、その中にはヨーロッパ周辺からの留学生(エラスムス)も含まれます。
私が在学している学科の“繊維と衣類のマネジメント”はヨーロッパの繊維業界では広く名前が知られているらしく、キャンパス内には繊維や紡績を取り扱う専門機器などの設備が豊富にそろっています。
学科の校舎はドイツらしい伝統的で美しい赤レンガが特徴的ですが、写真で紹介しているように大学の図書館を初め、他の講義棟では伝統的なドイツらしさとは対照的にモダンなデザインが用いられています。
キャンパス全体も大きすぎない“こじんまり”という表現が似合います。
キャンパスのある2つの都市は決して大きくありませんが、メンヒェングラートバッハにある方は街の中心地からバスで10分程度と立地に関してもそこまで悪くなく、オランダやベルギーの国境からとても近い場所に位置しているので、車やバス、電車などの公共交通機関で1〜2時間で行けてしまうなど、とっても便利な街です。
先に大学の授業に関して1つだけ問題点を挙げるとするなら、ドイツ語で教えているコースについては詳しくないのですが、英語で教えてくれる教授はドイツ語が第1言語で英語は第2言語として話しているので英語が上手な教授とそうでない人との差があり、少し不満に思うところがあります。
参加して良かった入学前の大学準備コース
実際に大学に行くまでは、友達ができるかなと心配な気持ちでいっぱいでした。
そんな、入学に不安を抱える新入生に向けて、大学では大学準備コースというのが設けられており(ドイツにある多くの大学でも同様にあります。)、大学入学までに必要な数学と化学の基礎を復習できるというものでした。
私はその2科目が特に苦手であり、加えて高校を卒業してからのブランクもあったので入学が決まった段階で準備コース参加を決めていました。
参加してみると、予想よりドイツ人学生が多くびっくりしたと同時に「本当にこの中でやっていけるのかな」という不安が押し寄せてきました。
こちらの学科は英語コースだけでなく、ドイツ語でも同じ内容のカリキュラムが提供されているので、入学前の私はもっとドイツ人の学生は少なく、私のような留学生が多いのかと考えていましたが、100人程の学生が在学する中で、留学生はたった10人ほどでした。
準備コース開催期間中には殆どの学生がドイツ語で会話をするので、グループの輪に入りづらいと感じる事が多々ありました。(普段の大学生活でもそうなのですが。。。)
私の場合、運よく準備コース期間中にたまたま隣に座っていた女の子に勇気を出して声をかけてみるとすぐに友達になる事ができました。彼女は他のクラスメートがドイツ語で話していても常に英語で話しかけてくれるなど、とても優しく準備コースが終わった今でも仲良しです。
私以外のどの学生達も基本的に、準備コースで友達を作っているようでした。一緒に勉強や課題、テスト勉強に取り組めるグループがあると、それらに関連した情報交換ができるのでとても助かっています。友達を探すという意味でも、準備コースに参加する価値はあると思います。
大学が本格的に始まってからは、同じ学科の先輩達がチューターとなってテストや講義について一年生目線で説明してくれたり、ゲームを交えて校内の施設などの紹介もしてくれたりしました。
その中で毎回、「ショットいる人〜?」と先輩たちがオリエンテーションの間に聞いてきたのは本当に驚きました。(笑)
オリエンテーションが終わってからも、ストリートフードフェスティバル、セメスターオープニングパーティー、バーの散策などお酒を飲むイベントが1週間ほど続き「さすがドイツ!」と感じたのを憶えています。
困ったときは海外留学生向けのサポートプログラム
ドイツに到着してから友達を作るまでの間、ビザや身の回りのこと(主に行政での手続きなど)について頼れる人がいませんでした。そんな中、大学からバディプログラムに関するメールが届きます。
バディプログラムとは、留学生1人に対してドイツ人の学生が1人ついてくれて学校生活や、その他ドイツでの暮らし全般について相談に乗ってくれたり、翻訳の手伝いなど留学生への手厚いサポート制度の事です。
私は正直このプログラムにとても助けられました。
私のバディパートナーは日本に興味があり、日本語を勉強している大学院の先輩で、成績や試験、大学施設についても詳しく教えてもらいました。先ほど少し話したビザ手続きに関しても、彼女に同行してもらい手続きを全て終わらせることができました。
大学の雑誌(PDF:Das Magazin der Hochschule Niederrhein)から、バディプログラムについてのインタビューを受けたので、もし興味がある方は是非読んでみてください。40Pに掲載されています。
また、大学の国際チームによって留学生との交流イベントが用意されており、私も今学期はケルンやボンに他の留学生と日帰り旅行を楽しみました。そのおかげで留学生同士のネットワークができるなど、少しずつですが今でも交流の幅が広がっています。
大学が本格的に始まっても、定期的にイベントが催され、現地に来ても友達作りに困ることはないと思います。
繊維、衣類マネジメント学科を専攻する私の大学生活:一学期目の時間割や一日の生活、休日の過ごし方について
一学期目の時間割はどこの大学でも同じような忙しさだと思いますが、私は基礎科目を中心に単位を取得しました。時間割は以下の通りです。
繊維、衣類のマネジメントを勉強しているのに数学や化学を準備コースで勉強していたのか、と不思議に思う方もいるかもしれません。
私自身も正直「なぜ数学や化学などの理系科目を勉強しないといけないのか」と、大学入学直後は少し疑問に思っていましたが、学期が進むにつれ、数学は実験データの解析や会計、経営学などで必要になる他、化学も様々な種類の化学繊維の特性を理解するために必要不可欠だという事に気づかされました。そういう意味でも、準備コースでしっかりと基礎を固めておくのはお勧めです。
ここで一学期の時間割から繊維や服について専門的に学べる授業をいくつか紹介したいと思います。毎週月曜日に行われていたTextile Materialsという授業ではどういう素材から生地が作られるのか、生地それぞれの特徴、見分け方を学びました。Yarn technology とFabric technologyという授業では糸はどうやって形成されるのか、糸から生地が作られる工程を1つ1つ細く学びます。
また、Clothing Technologyでは、生地から服が商品化されるまでを技術や製造工程を学ぶ事ができます。一学期目では座学で基礎知識を学びますが二学期目にあるTextile chainという授業では紡績工場などで使われる機械について大学内にある工場で実践的に学ぶことができます。
時間割の中で黄色く塗られている箇所は一般的な授業とは異なり、実験や演習問題解説など少人数コースになります。(少人数コースは自分でいくつかの候補から選ぶ事ができます。)
例えば月曜日や金曜日は授業が2コマだけです。ほかの曜日と比べると時間があるので、授業の空きコマや授業が終わった後は、グループワークのミーティングをすることが多かったです。特にCommunication and presentation, project managementの授業ではプレゼンテーションの準備をしないといけない場面が多く、練習や打ち合わせに意外と時間を取られました。
グループワークの課題がないときは友達と買い物に行ったり、カフェに行ったりして過ごします。加えて、私の大学でも日本で言うサークルのようなスポーツ活動も行われており、毎週月曜と水曜はバレーボールをしています。
例えば木曜日は一見忙しそうではないのですが、朝8時から物理の実験を行って次の授業、その後 no lectureと記述があるのですがここは言語コースが開講されているのでドイツ語を学び、そしてtextile materials の実験が2コマ分続きます。
平日は忙しい日もありますが、休日は割と自由に過ごすことができます。隣街のデュセルドルフやケルンに電車で出かけたりするのも学生チケットを使って無料で移動できたりと、日本でよく聞く「海外の大学生は兎に角、一日中勉強している」といったような特別、忙しすぎて遊ぶ時間もないと感じたことはありません。学部別でも大学主催のイベントも多く開催され、毎週末が本当に楽しみです。
実験やグループワーク、プレゼンテーション。。。慣れるまでは大変
先程、時間割について話した時にもふれましたが、私の大学では実験やグループワークが多く行われています。
一学期目でのtextile materialsの実験では白衣を着用して行ったので、一人の科学者になったような新鮮な気分を味わう事ができました。
例えばある実験では、小さな繊維から薬品への反応や匂いなどを観察し、繊維の断面からどの種類の繊維かを見分ける事が大きなテーマで、顕微鏡で観察も含め、実験書では細かく作業工程が指示されていたので、最初の方は慣れるまでにかなり苦労します。
最終的には友達と考察したり、教授とディスカッションができたりと、一学期目の実験はとても充実したものになりました。
グループワークでは、マネジメント分野を中心に様々な課題が出されていましたが、その中でも自分達で“ミュージックフェスティバル開催の企画”という課題は特に時間を要すことになります。実際現地にある設営会社に音響などの機材を初めステージや照明、机を借りる際の見積もりや、タイムテーブル、エンターテインメントなど様々な視野で考慮する必要があり課題にかける時間も必然的に増え、ミーティングも多く行いました。
グループの中には協力的でないメンバーもいたり他の課題との両立が難しかったりと、問題もありましたが無事プレゼンテーションも成功させることができ、高評価を頂く事ができました。大勢の前で話すこと今でも緊張しますが、練習を繰り返すことでどうにかなりました。(笑)
英語でプレゼンテーションは難しいんじゃないのか、と私も学期開始当初は思っていたのですが、いくら英語が堪能なドイツ人学生とは言え、彼らにとっても英語は第二言語なので間違える事もあります。なのでそこまで気にすることはなかったです。
ドイツの大学で初めてのテスト期間を終えて
私もテストを受ける前はどれくらい難しいのか全く想像ができませんでした。大学最初のオリエンテーションで3回テストに不合格になると退学になると聞いていたので、「せっかくここまで来たのに退学なんかになってたまるか」と気を引き締めたのをおぼえています。
正直、大学生活は想像よりは忙しいものではなかったのですが、テスト前になると膨大な量の情報を覚えて理解しないとならないのでまた、テスト中に知らない英単語が出てきたらどうしようなど様々な不安がありました。
そこで、テスト以外に授業中での課題でもらえるポイントは出来る限り取るようにしました。テスト勉強の方法としては、情報量が膨大にあって教科書で見直しをするには時間がかかるので、自分でノートに教授が授業中に「ここの箇所は重要だから」と言われた所を中心にまとめました。
その中でも、私が一番時間をかけたのは苦手だった数学です。試験中は電卓を使っても良いとのことでしたが、計算だけでなく素早く問題文を読んで何を求められているのかを理解する必要があり、ただ公式を覚えるだけでは解けない問題もありました。試験2週間前から過去問をたくさん解きながら、勉強のグループを作って時間をかけたことで実際のテストも難しいと感じる事なく突破できました。
数学以外の教科では基本、最初に過去問を確認して傾向や出題形式を理解してから試験勉強に臨んでいました。勉強中に質問がある時も、積極的に友達と情報交換して、それでも理解が難しい時には教授に聞くことで疑問点を解消しました。
先ほど話した専門的な授業の基本は暗記が多いので時間をかけて復習すればテストがそこまで難しいと感じることはありません。しかし、その中でも全て記述で答える試験や化学反応などの理論に基づく問題は難しいと感じました。
ただ他の学生を見てみると、授業に一切出ないでテストを受けている方もいます。ですが、授業で得る情報はとてつもなく多く、授業に出ない独学で勉強するのはおすめできません。
テストの準備が自分でまだできていないと判断すると、テストを次学期に延期もできますが、学年が上がるほど授業内容も複雑になり、勉強量も増えるので特別な事情がない限りは延期しないほうが良いと、先輩からも助言をいただきました。
結果としては一学期の単位は全て落とさなかったので、自分としては満足しています。
しかし、大学院に進学したいと自分が思うかもしれないことも考えて二学期目からの試験ではもっと良い成績が取れるように時間をかけて、勉強に取り組めればと思います。
あとがき
大学一学期目は慣れるまでに時間はかかりましたが、情報を友達と確認し合うことで不安を解消できました。
現在はコロナウイルスの影響でオンラインを通して勉強しています。課題が多く忙しいですが、ドイツ語の勉強も欠かすことなく二学期目も頑張りたいなと思います。
もうすぐ試験も近いので二学期目では2.0以上を取ることが目標です。また、試験勉強に少し余裕が出てきたら、空き時間は学んだことを活かして自分で制作活動も行っていければと思っています。
著者:井早由(instagram)/編集:井上誠志
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