ドイツで教育実習!「ドイツ人の短い労働時間」それ子供の頃からです。

 ドイツ留学体験談、今回は愛知教育大学からドイツのフライブルク教育大学に留学しているNaoさんに、留学様子や「ドイツ教育実習」から経験したドイツ教育現場のリアルを聞いてきました。

Naoさんが留学中ドイツの子供達、先生から学んだ事などドイツ教育に興味がある方に是非おすすめです。

ゲーテ先生

フライブルク教育大学や寮生活の思い出以外にも、Naoさんが「留学中ドイツの子供達や現地の先生から学んだ事」はとても印象的で私自身大変勉強になりました。

 

私がドイツの教育大学に留学したきっかけ 

 日本では愛知教育大学で社会科の先生になるために勉強しており、その中でも一番関心を持っている事が「政治をどう教えるか」ということでした。

 

勉強を続けていくと「ドイツの若者に対しての政治教育」に対して興味を持つようになり、勉強していくにつれドイツの教育システムをもっと肌で学んでみたいと思うようになり、それが現在のドイツ留学のきっかけになっています。

 

 

留学のため、ドイツの大学と愛知教育大学の協定大学を調べていた時にフライブルク教育大学の名前がリストにあり、

 

「ここだ!」

と思いました。

 

フライブルクには、州立政治教育センターの支部もあるので、政治教育に関する資料収集や政治教育に関する講座を受けることもでき、私が考える留学にまさにうってつけでした。

 

提携校同士だったので、留学を決めてからの手続きや住まいの確保など大学からのサポートも充実しており出発までトラブルなく進みました。

ゲーテ先生

姉妹校や提携している大学同士だと留学の準備もスムーズにできるのが魅力の一つですよ。

留学したドイツのフライブルク教育大学はこんな所

フライブルク教育大学(Pädagogische Hochschule Freiburg)は小学校(Grundschule)の教員と中等教育課程前期(Sekundarstufe Ⅰ)の実科学校(Realschule)と基礎学校(Hauptschule)の教員を養成するための大学です。学生数は約5000人で、その内、留学生数は30人程です。

 

フライブルクでは以下のような学科があります。「多い!」と思うかもしれませんが、理由はのちほど…

フライブルク教育大学にある学科

教育学、教育心理学、教育社会学、英語科、美術科、ドイツ語科、音楽科、政治・歴史科、保健体育科、数学科、化学・物理・生物科、社会教育・職業教育科、地理・地学科、ロマンス語学科、神学科

フライブルク教育大学はドイツの総合大学に比べて実践に重きを置いているとされますが、日本の教員養成大学と比べると、理論に比重が置かれているように感じました。

 

しかし、教育実習を日本よりも長い期間行う必要があるので、理論と実践のバランスが取れています。また、ドイツで教員になるためには、2科目以上の教員免許が必要なので、ほとんどの学生が2つ又は3つの学科を専攻しています。

 

これがフライブルク教育大学の学科数が多い理由です!

 

留学生は、オリエンテーション時のドイツ語のテストでB2以上の成績があれば、週一で教育実習をすることができます。

 

大学のキャンパスは、中心部からトラムで20分のところに位置しています。フライブルクの郊外で、あの有名な黒い森も麓でもあり、自然がとても豊かです。

 

大学自体は非常にコンパクトですが、メンザ(学生食堂)や図書館、附属小学校など教育大学としての施設はとても充実しています。

大学の周辺には駅や、パン屋、小さなスーパーくらいしかないので、留学中少し不便に感じました。

 

フライブルク教育大学に通う外国人学生

ドイツ留学中の寮生活や留学前に注意しておきたいフライブルクの住宅問題

寮のキッチンでイチゴジャム作り

 大学の隣に、全室WG(シェアハウスタイプ)の大学の寮があります。多くの留学生は、大学の寮に住むことになります。わたしは、なぜか大学からトラムで30分ほどかかる学生寮のWGの一部屋に振り分けられました…笑

 

「渡航前は、なんで、こんな遠い寮に住まなきゃいけないんだ!!」

と不満に思っていましたが

 

いざ住んでみると、とても快適な寮でした。

この寮は、25棟あり(2019年増設中)、フライブルク教育大学の学生だけでなく、フライブルク大学やフライブルク音楽大学の学生も住んでいます。

 

何千人も住んでいるため、その分施設が充実しています。サッカー場や卓球台、ビーチバレーのコートだけでなく、寮専用のバー、サービスセンターも完備されていました。催し物も充実しており、ヨガクラスやダンスパーティー、朝食ビュッフェパーティーなどが定期的に開催されていました。

 

私のWGは、4人部屋で、ルームメイトが非常に親切で、「清潔の基準」が一致したことがなによりもよかったです。よく一緒にご飯を作ったりして楽しかったです。教育大学の学生ではなく、フライブルク大学の学生と一緒に住むことで、医学や経済学について話したりすることができたのは本当に大きな学びになりました。

 

寮の費用についてですが、トイレ、キッチン、ダイニングルーム、ベランダは共用で、個室にベッド(シーツ、掛布団も含む)、勉強机、イス、読書灯、クローゼット、本棚が備え付けてありました。一ヶ月325€(約40,000円)で、水道代、光熱費、インターネット代、ごみ処理費全て込みでした。

 

生活費全体を考えると、食費は大体月150€で、諸経費をあわせても毎月600€あれば生活できます!

 

フライブルクは、近年、住宅不足が問題化しているので、他の都市と比べると寮費は高めです。一人部屋に住むとなると、400€を超えます。自ら住まいを探す場合、フライブルクではかなり難しいと考えた方がいいと思います。

ドイツ語は目標をもって勉強する事が大事!私が実践したドイツ語勉強法

 私は、とにかく言語が大の苦手で、母語の日本語でさえ苦手意識がありました。何が何でも、ドイツに留学に行きたい!その一心でドイツ語の勉強を始めましたが、その道のりは前途多難でした。

 

まず、私は、目標がないと勉強できないタイプだったので、半年に一回ÖSD(オーストリア政府公認ドイツ語能力試験)を受け、渡航前までにB1がとれるように準備しました。東京や大阪に行かなくても、国際的なドイツ語試験を受験することができる点でÖSDは重宝しました。

 

具体的な勉強方法としては、ÖSDの公式の問題集をやりながら、単語や文法をおさえていきました。しかし、文法は、最初からドイツ語で説明されているテキストを理解することができなかったので、独検用の問題集(『独検合格4週間』5級~準2級)を使い勉強しました。

 

1番苦労したのが、単語です。ビジュアルで覚える方が得意だったので、『独検イラスト単語集2・3・4級レベル』を使って、絵で単語を覚えていきました。

ドイツの学校で教育実習!ドイツの子どもたちから学んだ留学!

大学構内で小学生と一緒に科学実験をしている様子

 私のドイツ留学の目標はドイツの教育を学ぶ事で、今回、幸運にもドイツにある4つの学校で教育実習をいさせて頂きました。

 

なぜ、複数の学校で実習を行ったかというとドイツは州ごとで教育システムが違い、また、中等教育課程には、いくつかのタイプの学校があるからです。そのため今回の留学では次の学校で実習せせていただきました。

私が実習した教育機関
  1. ギムナジウム(Gymnasium):大学進学を希望する子どもたちが通う8年制の学校
  2. 総合制学校(Gesamtschule):ハウプトシューレ,レアルシューレ,ギムナジウムの仕組みを合わせた新しい教育機関。
  3. 総合制中等学校(Oberschule):Gesamtschuleと似て3種類の教育システムを組み合わせた総合型中等学校。
  4. 特別支援学校(Sonderschule):特別な支援、配慮が必要な子どもたちが通う学校。

これらの学校とは、知り合いを通してアポを取りました。もちろん、自分で学校を探し、アポを直接とっても良いと思います。アポを取る時には履歴書(Lebenslauf)も送付しました。

 

数日の授業見学は受け入れてくれない場合が多く、私の場合各学校一週間ずつ教育実習をしました。

ドイツ大学進学のための学校ギムナジウムから学ぶ「ドイツ人がディスカッションで強い理由」

 最初の実習はニーダーザクセンにあるギムナジウムで、政治と歴史の授業を中心に観察実習を行いました。

 

ドイツの連邦議会の選挙制度について学んでいた時、

教師から生徒に一方通行の授業ではなく、子供達同士が積極的に自分の支持する政党や自分の意見をはっきり述べ、他の生徒の意見を論理的に批判していた事がとても「ドイツ人の議論する力の根本」を象徴しているようでとても印象的に残っています。

 

その一方で、先生が少し教室を離れると、ジュースのペットボトルが教室を飛び交い、子どものやんちゃぶりはドイツも日本も同じだなと感じました。

ベルリンにある総合制中等学校(Oberschule)で学んだ、「なぜドイツ人は長時間労働しないのか。」

 ここの学校は、外国語や音楽など専門に特化した高校であり、外国語の中には、日本語を学んでいる高校生もいたので、政治の授業の他に日本語授業の見学もさせて頂きました。

 

この学校で研修していて一番衝撃だったことは、休み時間に勉強することに注意していたことです。

休み時間になっても授業中だされた問題を解き続けている生徒がいました。

 

その時、先生は

「次の授業が集中できなくなるから、休み時間はしっかり休みなさい!」

と注意していました。

 

日本であれば、

「休み時間も勉強していてえらいね」

と褒められるのに、注意されていて驚きました。

 

長時間頑張ることが評価される日本と違い、ドイツでは、決められた時間にいかに結果を出せるかが重要であり、この姿勢は、働き始めてからではなく、小さな頃から学校でも学んでいるのだと学びました。

総合制学校で見つけた「ドイツ人が雨でも傘をささない理由」

 最近、注目を浴びているイエナ・プラン教育(以下:イエナ教育)が生まれた地であるイエナでも教育実習を行ってきました。

 

イエナ教育といえば、オランダというイメージですが、名前の通り、イエナ大学で生まれた教育システムです。

イエナ・プラン教育とは?
イエナ教育はドイツ人のペーター・ペーターセンが初めた、子どもの自発的な学習などを重視した教育のことです。「オランダのイエナプラン教育とオランダ社会のかかわりについて」という研究論文で解説されているので興味のある方は是非読んでみてください。

 

オランダで積極的にイエナ教育は展開されていますが、ここイエナにも、イエナ教育に基づいた学校があります。

 

3学年が一緒になって授業を受け、上級生がリーダーとして、下級生を教える授業スタイルや、先生が教えるのではなく、子どもたちが自ら学び、先生がサポートに回る授業スタイルなど、子どもたちが生き生き学ぶ姿が印象的でした。

 

この学校では、幼稚部から高等部まであるので、幼稚部でも1日実習する機会がありました。

幼稚部で実習してみて一番驚いたのが、雨でも先生は子ども達が外で遊ぶ時間を設けていた事です。

 

なるほど!これは、「ドイツ人が雨でも傘をささないわけ」だと一人合点しました。

 

コンスタンツの特別支援学校から学ぶ「職員室は憩いの場所」

コンスタンツの特別支援学校では、教員の一人として子供たちに教えたり、遊んだりしました。

 

特に、衝撃だったことは、職員室の小ささです。

 

8畳ほどの部屋に置いてあるのは、教材を置くための棚、コンピューター3台、印刷機1台、ミニキッチン、コーヒーメーカー、丸机二つだけです。

先生は、個人の机を持たず、まるで職員室は、先生たちの憩いの場という感じで驚きました。

ドイツでの教育実習を終えて…

 このように、教育大学で、座学だけ勉強するのではなく、実際に学校に行って、子どもたちに触れ合うことでよりドイツの教育がどのように行われているかを学ぶことができました。

 

子どもたちと触れ合う中で、ドイツと日本のこどもの相違や共通性に気づき、本では学べない学びがありました。

ドイツで教育の留学する人は、ぜひ、教育実習をやってみてください!

最後に:出発前にコレをしておくだけで留学の成果がぐっと上がる!

 ドイツ大学で、専門的な授業を受けようと考えている人は、専門のドイツ語の文献を読んで、ドイツ語で意見をまとめる練習を留学前に行った方が良いと思います!それができるだけで、授業で吸収できることがとても増えます。

 

ドイツの授業(演習)やゼミで、意見が言えないのは、授業に参加していないのとほぼ同等に扱われます。インプットももちろん大事ですが、アウトプットもできると留学生活がさらに充実すると思います!

ゲーテ先生

素敵な留学体験談ありがとうございました。Naoさんならきっと素敵な社会科の先生になれます!わたしもドイツから応援しています。

著者:Nao/編集:井上誠志(twitter)



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