コラム:ドイツ合唱団で学んだ「ドイツ語ができなくてもコミュニケーションをとり続ける重要性」

 前回、レーゲンスブルク工科大学の留学体験談で紹介したSumihaさんに、ドイツで経験した思い出を聞いてみたところ、ドイツ合唱団に所属しオーケストラの合唱にも出場していた事がわかりました。

 

 「ドイツに留学しながら合唱団にも!?」と非常に興味が引かれ今回、コラムとしてSumihaさんのドイツ合唱団の思い出を聞いてきました。

 

ベートーベン先生

「ドイツ合唱団入団のきっかけ」や「ドイツ語が喋れないなりの戦い方」、「ドイツ語ができなくても団員たちとコミュニケーションをとる方法」など色々お話を聞いたですぞ!

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ドイツ留学体験談:留学して肌で感じた「ドイツ大学の厳しさと人生に正解なんてない事」

2月 1, 2019

ドイツの合唱団に所属していたという事ですが入団のきっかけを教えてください!

コンサート本番の様子

 はい、きっかけは、留学前から本場ヨーロッパの合唱を経験することが夢だったからです。中高6年間、高校時代には全国大会金賞を得るまで打ち込んだ合唱の楽しさを、国境を越えて共有したい思いも強くあり、ドイツに来てすぐ、ドイツ人の友人に聞くなどし、探しに探して勢いで飛び込みました。

 

 結果として、約100人のドイツ人学生の内、唯一の日本人留学生として入団オーディションに合格し、オーケストラとの大規模なコンサートに出演することができたのですが、それまでの道のりは容易いものではありませんでした。

 

たしかに、ドイツ合唱団に1人だけ日本人となると色々な苦労があったと思います。Sumihaさんにとって合唱団に所属して感じた一番の苦労は何でしょうか?

 大きな問題は、「ドイツ語が理解できないこと」でした。入団オーディションに合格したものの、語学留学ではなかったため、ドイツ語初心者であった私は、練習についていけないどころか、友人の1人も出来ませんでした。

 

約100人のドイツ人の中でたった1人の日本人で、練習にもついていけなかった訳なので…

 

いわゆる「ぼっち」でした(笑)

 

 さらに、追い討ちをかけるかのように、週2回の練習の内、1回は留学先の大学の授業時間とかぶっており、毎回45分遅れで参加することに。

 

今でも忘れませんが、100人が歌ってる音楽ホールに遅刻して入ってくるアジア人を見る彼らの視線は私にとって、だいぶ辛いものがありました。

 

 ドイツではドレミファの代わりに「C、D、E、F(ツェー、デー、エー、エフ)」で音をとるので、「Dの音程に注意して」という指示があっても、脳内で変換するのに時間がかかり、それらに慣れてようやく譜読みができてもドイツ語の歌詞が発音できない、しかも…

 

指揮者の指示が分からない、練習場所の変更などの事務連絡ですら分からない、大学が違うから知り合いがいない、誰も助けてくれない、

 

などの壁が山積みで他の団員と同じレベルで歌える気配はほぼ皆無でした。

 

想像しただけでも辛そうです…一体どうやってこれらの困難をのりこえたのでしょうか?

 「1曲24分間の大曲をコンサートで他の団員と同レベルで歌うこと」を目標に、これらの状況を打開すべく、私は以下の2点を実行することにしたのです。

 

  1. 恥を捨てたコミュニケーション
  2. ドイツ語のスキルアップ

 

 まずは、練習で隣席になった学生には誰彼構わず英語で話しかけ、相手の専攻や、合唱経験の有無などを尋ねることでコミュニケーションを図りました。そこで打ち解けると、指揮者の発言を英語で伝えてもらい、理解不足を補いました。

 

 そうすることで、1人、また1人と友人が増え、自分がドイツ語初心者の留学生であることを多くの部員に知ってもらえ、一部員として認めてもらえるようになりました。また、指示を英訳してもらうことで徐々に練習に追いつけるようになったのです。

 

  時たま、英語の話せない学生もいましたが、彼女は私に楽譜を見せて鉛筆で「f(フォルテ:強く)」などと書き込み、その部分を強く歌うように指揮者が言っていることを教えてくれました。音楽記号の筆談という、非言語コミュニケーションでも十分理解を補えました。

 

 そして、ドイツ語の改善のためには、毎回の練習をスマートフォンで録音し持ち帰り、自宅で何度も聞き直し、発音が追いつけなかった歌詞にカタカナを振ったり、単語の意味を調べたりして、皆と同じ発音や歌詞の解釈に繋げました。

スマートフォンに録音されていた練習中の会話

 

 こうした自分なりの努力が実を結び、結果的に半年後、プロのオペラ歌手と学生オーケストラと合同の大規模なコンサートで歌うことが出来、正式に合唱団の一員として認めてもらえました。本番中隣で歌っていた、ドイツ人学生の一人に

 

「周囲の歌声に馴染めてたし、むしろ自分たちより上手に聞こえたよ、Perfekt!(完璧!)」

 

と言ってもらえたときは、涙が出そうでした。

本番見にきてくれたドイツ人の友人と

 この経験から得たことは、困難に柔軟に対応するには、いかなる形であれ、「自ら」コミュニケーションを図ることが大切ということです。

 

 私が実践していたように、言葉を通じて自分からSOSを発信することはもちろん、合唱の場合、隣席同士の声や発音を聞くこともコミュニケーションの一種なので、ドイツ人に近い発音や歌詞の解釈をした上での発声も、彼らに自分の意思を伝える一種の手段でした。

 

 

 これらの学びは、ネット上からや日本人同士で合唱をしても得られないもで私にとって忘れられない留学の思い出となりました。

著者:Sumiha(instagram)/編集:井上誠志(twitter)

ベートーベン先生

Sumihaさん素敵なドイツ合唱団の素敵な思い出ありがとう!ちなみに彼女のレーゲンスブルク大学での留学体験談はこちらでマルクス先生が紹介している!是非、興味のある方は読んでみてほしいですぞ。

ドイツ留学体験談:留学して肌で感じた「ドイツ大学の厳しさと人生に正解なんてない事」

2月 1, 2019



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