こんにちは!ふくちゃです。
現在都内の広告代理店でコンサルティング営業として働いています。
早速ですが、この記事をご覧になっている皆さんは、多少なりともドイツに興味があり、「ドイツで学問を学ぶ」ということを選択肢の一つとして考えていらっしゃるのではないでしょうか。
海外留学がメジャーとなってきている今でも、英語圏ではなくわざわざドイツ語圏に留学するのは、なかなか勇気がいりますよね。
私は、学生時代に短期・長期の計2回のドイツ留学を経験しました。(ちなみに、1度目はノルトラインヴェストファーレン州(以下:NRW州)にある、とある大学付属の語学学校に1ヶ月強留学していました。)
↓Mapでもわかるようにドイツの西にある州がNRW州です。
この記事では、私がドイツ留学を経てなぜ広告代理店で働く事になったのか、そしてドイツでの経験が現在の人生にどのように活かされているのか、私の留学時代の経験を通してお伝えできればと思います。
また、ドイツの大学で学ぶという目標だけでなく、ドイツ留学を経たその後の自分の人生について、少しでもイメージ出来るようになって頂ければ嬉しいです。
ドイツ留学のきっかけと出発までの流れ
なぜ留学先としてドイツを選んだのか当時を振り返ってみる
ドイツ留学の経験のある方なら必ずと言ってよいほど、あるあるな経験として、
「ドイツの大学に留学してました!」と就活時の面接や入社後の挨拶などで述べると、
必ず「珍しいね!でも、何でドイツなの?」と言われます。(笑)
特に広告などのクリエイティブ業界では、英語圏への留学経験者や帰国子女などは多くいるようですが、ドイツ留学経験者は今のところ出会ったことはありません。
私自身、将来事を考えて留学先を選択したわけではありません。
最初に留学がしたい、思ったのは中学生の時、アメリカ在住の女性に出会ったのがきっかけで、当初はやはり英語圏への留学を目指していました。
しかし、
英語圏への留学はとにかくお金がかかる!!
田舎の平凡な公務員家庭に生まれ育ち、なおかつ大家族の末っ子として育った私には、とても不可能な話でした。
そんな時に参加したのが、私の母校のオープンキャンパスです。
そこで大学の方からこう言われます。
「ドイツは学費が無料、交換留学の審査に合格すれば奨学金が月々8万支給、加えてドイツ語だけで無く英語も学べますよ。」
当初この説明を聞くまでは、本当の志望校から偏差値も10近く下がり、家からも最も遠い大学だったので受験する予定はありませんでした。
でも、とにかく留学がしたかった私は、「この大学でドイツ語を専攻し、ドイツ語+英語を学べる大学に安く留学できるなら…」と思い結局ここの大学に決めます(笑)
そして、月日は流れ、大学生になった私は無事交換留学の審査にも合格し、4月の夏学期からドイツのテュービンゲン大学に1年間留学する事になりました。
そして審査から、あれよあれよという間にドイツ出発の日を迎えます
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\テュービンゲンは最初に留学したNRW州からかなり南の方になります。/
ドイツで社会学・メディア学・政治学を学ぶようになるまで
そんなこんなでドイツに留学したわけですが、次は「なぜメディア学を学ぶ事になったのか」という点のお話です。
簡潔に述べると、下記の2つの理由があります。
- 専攻がドイツ政治学だったが、大学間協定の関係で選べる学部が制限されており、出来るだけ関係のある学部を選んだらメディア学部になった。
- もともとテレビや新聞・広告等のメディアに興味があったから。
交換留学プログラムで留学しようとすると、いろいろな大学の制限がかかることもあるかと思いますが、それによって全く違う勉強が出来たりもするので一概に悪いとは言い切れません。
上記の理由でメディア学部に所属したわけですが、実際留学中は、政治学や社会学の講義やゼミも取っていました。
むしろ、受講していた数で言えば政治系の方が多かったかもしれません。
授業の中身や勉強についての詳細は、次の章から説明していきます!
テュービンゲン大学で送る学生生活
とにかくドイツ語わからなくて苦労した夏学期
- A2/B1ドイツ語集中コース(1ヶ月)
- B1ドイツ語会話
- B1芸術を通してドイツ語学ぶ
- ドイツと日本の文化比較(日本語学科のゼミ/全てドイツ語)
- 政治比較(政治学科の講義/全て英語)
テュービンゲン大学には、留学生向けの語学コースが何種類かあり、私は渡独後、学期がスタートするまでの1ヶ月、一番内容の濃い1ヶ月集中コースに参加していました。※金額も高い
このコースでは費用は8万円ほどで、週5日、午前3,5時間・午後2,5時間ほどの日程で文法・会話をメインに様々な内容について幅広く学ぶ事が可能です。ちなみに、ビザ発行手続きや住民登録、学校への登録など、全てサポートしてくれるのでその点はとても有り難いコースでした。また、最初に払う費用の中に、5日間の合宿費用も含まれています。
ついに私の留学が始まるわけで…
初日にクラス分けテストがあり、筆記と口頭両方の結果でクラスが分けられました。
当時、「ドイツ語を話す」事になれていなかった私は、
案の定撃沈…
一応留学前に独検2級には合格していたのですが、実践となるとやはり全く役に立たず、会話力はほぼゼロの状態だったと思います。
1ヶ月の語学コースの中で一番苦労したのは、「失敗を恐れずにトライする事」でした。
語学学校の先生が何を指示しているのかがわからず、授業において行かれる事も日常茶飯事です。そして、授業に置いて行かれてしまって、自分のドイツ語に自信が無く質問も出来ず、もっとわからなくなる。
この悪循環が繰り返されていきました。
そして何よりも苦しんだのが、英語が話せない事で、他の留学生の輪に入れなかった事です。
私が参加していた時は、たまたま英語圏からの留学生が半分近く占めており、余計に疎外感を感じることが多くありました。夏学期がはじまってからも、最初はやはり会話の面で苦労することが多く、授業について行くだけで必死だった記憶が非常に強いです。
そんなこんなで、あまり良いスタートを切れなかったというのが、私の留学生活の現実でした。
その環境を変えてくれたのが、Japanologie(日本語学科)の学生との出会いです。
テュービンゲン大学には、日本語学科があり、毎週のようにイベントが開催されています。そこで出会ったドイツ人の学生達と、タンデムとしてではなく個人的な友達として一緒に遊びながらドイツ語を使用していました。
彼女たちと常に一緒に遊んでいたことで、私のドイツ語力はぐんぐん伸びていきます。
また、日本語学科の先生の勧めで始めた、週1回の日本語家庭教師のアルバイトもかなり良い訓練になりました。
私がドイツ人の子供に日本語を教える訳ですが、自分が子供にドイツ語を教えられる事もあり、とても良い勉強になったと思います。
夏学期を振り返ってみると、留学で一番大切なのは、
- 人と関わること
- 失敗を恐れずにどんどんトライしてみること
- 信頼できる現地の友達を作ること
の3つなのではないかと今も思っています。
勉強に没頭した冬学期
- ドイツ政治(留学生とドイツ人学生が一緒に行うゼミ)
- B2/C1ドイツ文学/短編小
- B2/C1ドイツ語文法(週1回3時間、きつかったです、、)
- ドイツ政治学の基礎(政治学科の講義)
- 基礎英語(語学センターで行うゼミ/留学生・ドイツ人ごちゃまぜでした。)
ドイツ人の友人達のおかげで、なんとかドイツ語力も人並みになり、2ヶ月の長い夏休みにはドイツ国内をたくさん旅行していました。
旅行先では自分のドイツ語だけが頼りなので、これも非常に良い訓練になりました。
留学中は、どんどん外に出て色々な景色を自分の目でみて体験することをオススメします!!
冬学期は、とにかく一つ一つの授業の内容が重く、毎日勉強を何時間しても終わりません。
ドイツ政治の授業では毎週メディアから国際ニュースやドイツ国内のニュースをピックアップし、その要約と自分の意見を提出+発表+ディベートしなければなりませんでした。
自分の語学力の足りなさを日々痛感しながらも、吸収できるものは非常に多かったです。
このゼミの一番の魅力は、様々なバックグラウンドをもつ学生達と、国際的・社会的な問題や政治問題について意見を交わせる点でした。
日本人としての感じ方や考え方とは、全く異なる意見をどんどん周囲が主張してくるので、国際問題に対する生の意見を聞くとても貴重な機会になります。
一方で、意見を聞いているだけでは日本人としての意見や気持ちがみんなに伝わらないと思い、必死に自分の言葉で伝えていました。
ゼミメンバーの語学力も非常に高く、なおかつドイツ人の学生とも一緒にディベートしなければならず、会話力という面では非常に鍛えられたと思います。
この授業に参加していた当時、丁度ドイツで連邦議会総選挙があり、CDUが大敗、連立政権が成立せず政治的空白期間が何ヶ月も続くという大きな出来事がありました。
この問題について、ゼミの中で何度も議論が行われ、
「この出来事を引き起こしたのは何が原因なのか?メルケルはやめるべきなのか?」
「最後までやり続けるべきなのか?」
などなど、多くのディベートを行いました。
そしてゼミでの経験がきっかけで、帰国後の卒業論文ではメルケル首相の政治生命や今後の政治体制に関する研究を行うことになりました。
幅広い意見をきき、何が最善なのか考える時間を得たことで、その後の研究に非常に活きたと感じます。
文法の授業では、毎週の課題量が何十ページとあり、それをこなしていかないと次の授業でついて行けなくなってしまうため、必死にこなしていました。
文法の授業は1回の授業時間も3時間あり、毎回疲れ果てていました。笑
やはり検定系を受ける事を視野に入れているのであれば、そのレベルの文法はマスターする必要があるので、受講して良かったと感じています。
正しい文法は口語では必要ないかもしれませんが、それでも知識として最低限持っていることは大切です。
こんな大変な日々の支えとなったのが、ドイツ人の友人達です。
寮の共用キッチンで一緒に勉強をし、わからないところをその場で教えてもらったり、勉強に煮詰まると一緒にご飯を食べながら話したり夜の街に遊びに行ったりと、常に一緒に頑張っていました。
勉強するときと遊ぶときの切り替えのすごさは、ドイツ人の学生の特徴ですね。しっかり切り替えて勉強しているからこそ、みんな優秀なのかもしれません。
皆さん、ドイツ人の信頼できる友達を作ることは本当に重要です!
タンデムも良いですが、タンデム兼友達、のような関係性が一番良いかもしれないですね。
ドイツ留学中の生活習慣やタイムスケジュール
テュービンゲンでの学生生活を一言で表すと、先ほども述べた「切り替え」かな、と思います。
とにかく、切り替えが大事なのです。
まず、「勉強する時と遊ぶ時の切り替え」です。これが一番重要だと思います。
1年間の留学期間中を通して、勉強するときは集中して勉強をし、遊ぶ時は切り替えて思いっきり遊ぶ、という生活をしていました。
勉強量が多いとつい、だらだらと長時間勉強に費やしてしまい、結局効率が悪い時間の過ごし方をしてしまう、なんて事も多いですよね。
ドイツでは仕事においても生活においても、とにかく、効率が重視されます。
それは、勉強や学生生活においても同じです。無駄な時間は極力無くし、効率よく時間を使えばその分勉強量も増やせますし、プライベートの時間も取ることができます。
最初はなかなか難しいかと思いますが、時間を決めて集中して勉強し、それが終わったら課題が終わっていなくても一度休憩する、というように、ON/OFFのメリハリをつける事の繰り返しで、時間内により効率よく終わらせられるようになるかと思います。自分が集中できる場所を探してみるのも良いかもしれませんね!
わたしのとある1日のスケジュール(夏学期)をご紹介します。
8:30~ | 起床 |
10:15~12:15 | 講義 |
12:30~ | ・カフェテリアでランチ ・図書館で勉強 |
14:15~15:45 | ゼミ |
16:00~17:30 | タンデム 図書館で勉強 |
20:00~22:00 | ・スタムティッシュ(学科ごとに集まってのご飯) ・帰宅 ・勉強 |
25:00~ | 就寝 |
ざっとこんな感じだったと思います。
週に1~2回は夜友達とご飯に行ったり学科の集まりがあったり、タンデムや友達と遊びに出かけたりする事も多かったので、隙間時間を見つけては勉強する毎日でした。
とは言いつつ、部屋で映画を見たり日本人の学生で集まってご飯を作ったりと、遊ぶ時間もたくさん持っていたので、充実していました。
日本での学生生活はバイトやサークルで時間が取られたりして、勉強は二の次になりがちですよね。(本来はおかしいのですが、、笑)
ドイツの学生生活は、当然のように「勉強」が一番大切です。勉強が嫌いな人にとっては苦痛かもしれませんが、それでも非常に有意義な時間を送ることが出来ると思います。
コツコツ勉強してインプットする時間と、現地の友達や留学生の友達と話してアウトプットする時間の両方がきっと重要になってくると思うので、どちらかに偏りすぎずバランス良く続けていくのがコツかなと思います。
こんな生活を続け、留学当初A2/B1の授業を受けていた私は、最終的にB2/C1のレベルまでになることが出来ました。
帰国後にはドイツ語検定準1級を受け1発合格、Test Dafでは4分野全てでレベル4を取ることは出来ませんでしたが、
リスニングやライティングなど全ての項目で合格ラインに達し、多くの分野でレベル4を獲得出来ました。
ちなみに今の目標は、ドイツ語技能検定1級に合格することです!
帰国後の就職活動・現在の会社で生かされた留学時代の経験
そんなこんなで留学生活を終え、帰国した私を待っていたのは、進路の決定でした。
この時期は、自分の人生で本当にしんどかった出来事TOP3に入るなあと、今振り返っても思います。
ちなみに、TOP3の他の出来事は
- 就職して最初の3ヶ月
- 留学最初の1ヶ月
です。笑
何事も最初の時期は大変ですよね…
ドイツの生活がとても気にいっていた私は、帰国後いわゆる『逆カルチャーショック』になってしまいました。
周囲からどのように見られているか常に気を使い、自己表現をしすぎると受け入れられない、そんな日本社会の風潮にどうしても再適応出来ず、精神的に非常に落ち込んだ事もあります。
周囲が当たり前のように就活を行っており、将来への不安と就活を行わないことがおかしいというような、画一的な就活スタイルや将来設計を押しつけられているように感じ、非常に窮屈に感じたのです。
帰国後5ヶ月ほどは特に、何をやっても上手くいかない、適応できない、という辛い時期を過ごしていた記憶があります。
当時の私の頭の中には、選択肢が2つありました。
- メディアや政治の知識が活かせる日本の企業に入る。
- 大学院に行き、さらに専門の勉強をする。
本音をいえば②に集中して取り組みたい、とおもっていましたが、お金もなく、両親からも反対され、とりあえず就活とへ移行して行っていました。
しかし、先にも述べたとおり、
画一化された日本の就活スタイルにどうしてもなじめない
大学院への未練もある
全く就活に身が入らないまま面接の予定だけが埋まっていく
…というような日々が続いていました。
そんな中で、今の会社を紹介されます。
自由な雰囲気と型にはまらない仕事に魅力を感じ、面接段階からここに入りたい!と感じた初めての会社でした。
そうなるとやはり面接もサクサクと進み、説明会から1ヶ月立たずして内定をもらうことができました。
業務内容としては、政治はほぼ関係の無いクリエイティブメディアですし、海外と深く関わりのある会社でも無いのですが、
「どんな経験も必ずその後の人生に生きてくる」
という、留学時代に学んだ大事な事を胸に、今や会社に就職を決めました。
今回、留学時代の経験が今どのように仕事に生きているのか、考えてみました。
直接的に語学が活かせるという仕事はほとんどありません。ですが、間接的に使用する機会は多く、留学経験があって良かったと日々感じています。
具体的な例を挙げると、業界の最新情報を得るために海外の最新トレンドを社内に紹介したり、海外サイトや海外企業発信のツールを利用したりする事が多いです。
日本で公開されている情報だけに頼っていると、いつか社会に置いて行かれてしまうというのが、変化の早い現代社会の特徴だと感じています。そんな時代に、自分から最新トレンドを入手しにいけるという点は非常に強みになります。
また、一番良かったと感じるのは、「幅広い視野で物事を見て考える」という思考フレームが留学生活や留学前後の活動を通してできあがっていたことです。
一企業に入ってしまうと、その企業の考え方や方向性、特別なやり方が必ず存在しますが、その中で如何に自分が広い視点で物事を考え、実行していくのかという点は、社会人として、特に広告などのクリエイティブやマーケティングに関係する仕事に携わっていると、とても重要になって来るのです。
さいごに
以上、私の留学生活から、その後の社会人生活に関する点まで、つらつらと書いて参りました。
かなり赤裸々に書いていますので、公開するべきか迷う内容も多少ありましたが、これから留学を目指す皆様に取って少しでも有益なものになれば、と思い正直に記載しました。
皆さんも、ただ漠然と語学を習得するだけでなく、今自分が過ごしている時間が、これからどんな意味を持っていきそうか、また、自分の目標やビジョンに向けて今何をすべきなのか、しっかりと考えつつ留学生活を送ってみてはいかがでしょうか。
よく、「海外に行けば自然と語学が出来るようになると思っている人が多い」と言われています。
これ、本当に大間違いです!!
私もそうですが、周囲の留学生を見ていても、
本気で勉強して話して失敗して・・・という苦しい時間を乗り越えずして、語学をマスターした人は見たことがありません。
多少の苦労は覚悟の上で、それ以上の楽しみと充実感が得られるという期待があるからこそ、頑張れるのです。
皆様がこの記事を読んで、
少しでも留学やその後の人生の選択について、前向きに考えるきっかけになればと思います。
「ドイツへ留学する」ことで、ドイツと日本の2国についてだけで無く、色々な事を学び考える事が出来るはずです。
ドイツに固執することなく、幅広い視野で考えて、迷って、模索して行けばきっと良い出会いやチャンスが巡ってきます。皆様の今後に良い出会いが溢れることを願っています。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
著者:ふくちゃ/編集:井上誠志
素敵な記事でした!
私は現在大学三回生で、ドイツ語専攻ではないのですが、ドイツの歴史や文化に漠然とした憧れがあり、ドイツ留学をしようか迷っている者です。
ドイツ語やドイツについてまなんでもきっと将来役に立たない、でもこのままなんとなく就活をして社会二はでたくない…、と悩んでいるのですが、少し勇気を頂きました!
感謝の気持ちをお伝えしたく、コメントを残させて頂きます。