日本人看護師の私がドイツの看護師免許を取得するまで

ドイツで看護師になりたい人、国際的に看護師として活躍したい人に読んでほしい。ドイツで看護師になるために、私が経験したすべてをお伝えします。

ドイツと日本で看護師として働いた私が思う日独の違い

まず私が感じたことは看護教育と看護感の違いです。

私は日本の看護師専門学校と大学で看護について学んできました。

例えば長期療養の患者さんにどのように看護アプローチをしていくのか、個々の患者さんの発達段階や生活背景を理論にのっとって検討していきますが、ドイツではそのような概念はなく、看護師は職業色が強く、業務をこなすことに重きが置かれているように感じました。

 

授業でも看護理論について学びましたがわずかな時間で、講義の時間は日本よりはるかに少なく、実習時間の方が多いです。ドイツの看護学生は大半がアビトゥーア(Abitur)と呼ばれる日本の高校資格のようなものは持たず、15歳からアウスビルドゥング(Ausbildung)よばれる職業訓練学校(看護学校)の病院で働きながら(有給の実習)3年通い、その後看護資格を取得します。そのこともあり看護のとらえ方のギャップを、現場の看護師と働く中で感じました。

 

日本やアメリカでは看護が学問として確立されていますが、ドイツは最近になって少しずつ取り入れているものの看護大学も無く、看護の質について考えさせられました。

私は無給の実習生だったので、実習生が実際いくら稼いでいるのかわかりませんが、病棟での看護業務は多いものの、看護師は少なく、実習生が大きな即戦力にもなっているように思えました。

 

私は現在、キリスト教系の病院の心臓カテーテル検査室で働いています。

狭心症や心筋梗塞、不整脈等、循環器疾患の検査や治療などに携わっていますが毎日40件近くの件数でとても忙しいです。病棟と違い患者さんと接することは少ないですが、検査や治療に際し多くの患者さんが不安を持っているので、少しでも和らげるように対応することを心がけています。

 

ドイツの看護師の給料ですが、病院により多少違いはあると思いますが、日本と同じくらいのように思います。

ただドイツは日本に比べて税金が高いため、手取りの給料はかなり低くなります。良い所は、有休が年間30日取れる 病気になった場合は病休が取れる、子供が病気になった場合も子供の付き添いで病休が取れる、といったところはドイツで働く長所だと感じます。

 

看護師として働くためにドイツ語は欠かせないが、私もゼロからのスタートだった

ドイツ語ゼロからのスタートで、まず私はVHSのドイツ語コースに通いました。

VHS (Volkshochschule) とはドイツの各州で運営されている市民学校(カルチャースクール)のことで市民が格安で語学(ドイツ語、英語、スペイン語、フランス語、日本語など)をはじめ様々な文化教養(ダンス、絵画、歴史、コンピューターなど)を学ぶことが出来きます。

 

私はここでドイツ語A1~C1を習いました。A1、A2コースの初級コースは、アフガニスタン、イラン、イラク、シリア等からの移民の人が多く、日本人や中国人などアジア系は少なかったです。年齢も様々ですが平日の午前中のコースは子供が学校に行っている間に勉強したい主婦が多く来ていました。

 

講師は語学講師や元教員などの教育現場で経験がある人で、外国人の対応に慣れたフレンドリーな先生が多かったです。授業はテキストに沿って文法をしっかり学習し、授業も他の学生とコミュニーケーションがとれるように、グループワークを取り入れるなどの工夫がされていました。授業の雰囲気は全体的に和気あいあいとした感じでした。

ただこの段階ではドイツ語を習得して仕事をしたい、大学に進学したいなどの明確な目標のある受講者は少なかったです。

 

B1コース以上になると既に仕事についていてドイツ語をさらに学びたい、大学に進学したいという受講者もいて、私も励みになりました。B1のコースを受講し終えた段階で、ドイツ語検定(Telc Deutsche B1)を受験しました。Telcの試験対策用のテキストを購入し試験までの1ヶ月半は自己学習をしました。口頭試験はYoutubuの試験対策動画を見て勉強しました。

 

試験はVHSでも実施されていて、申し込みはオンラインでも出来ます。ただいつもB1の検定は受験者が多くすぐに予約が埋まってしまうため早めに申し込むのをおすすめします。

B1試験は時間の制限があるので時間配分をすること、口頭試験ではしっかり、大きな声で、出来るだけたくさん喋ることがポイントだと思います。試験結果は1ヶ月半後に郵送で送られてきました。

 

ただ実際に職場でドイツ人と接してみて思うことは、ドイツ人でも正しいドイツ語を読み書きできる人は少ないです。特に若い人は口語やスラングを使い、しかも早口な為、聞き取ることが難しいです。これはドイツ人同士でもあることで例えば患者が若い看護師のドイツ語が理解できず聞き返す場面も度々あります。このように実生活でドイツ語を学ぶことの大切さを感じています。

クラスメートとの集合写真/提供:Yoko

クラスメート達とパーティー/提供:Yoko

これからドイツで看護師になりたい方へ

日本の看護師がドイツで看護師免許を取得することは可能です。

日本で看護師経験ありドイツ語さえ出来ればドイツの看護師資格を取得することは難しいことではありません。私の場合ドイツ語学習1年半とコース6ヶ月の計2年でドイツの看護師資格を取得することが出来ました。

私はこの経緯の中で資格取得だけではなく、ドイツという国、ドイツ人のメンタリティ、ドイツ人とともに働くこと、ドイツと日本の医療システムの違いなど多くのことを知り貴重な体験をすることが出来ました。

これからドイツで看護師になりたい方はぜひ挑戦してみて下さい!

著者:Yoko/編集:井上誠志

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ドイツで看護師になりたい人、国際的に看護師として活躍したい人に読んでほしい。ドイツで看護師になるために、私が経験したすべてをお伝えします。

10 件のコメント

  • はじめまして。
    とても参考になり、励みにもなりました。
    ありがとうございます。
    情報を集め始めたばかりなのでわからないことだらけです。
    日本から自分で情報を集めるだけでは限界があります。
    留学のエージェントを利用した方がいいのでしょうか?
    おすすめのエージェントがあれば教えていただきたいです。
    よろしくお願いします。

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    • Hirokoさんこんにちは。私のWebサイトに御訪問下さって有難うございます。Hirokoさんから、info@yoko-nishijo.de宛にメールを頂いたと思うのですがいかがでしょうか?記載されていたメール先に返信したのですが、メールフェイラーで送れない状況です。申し訳ございませんが、再度メールを送っていただけると幸いです。
      留学エージェントについてですが、私自身利用したことが無いので残念ながらわかりません。私の経験上、看護師の免許を取得する前段階の書類の手続きなどで、言葉の問題やドイツの役所は日本のように親切ではないこと、又いろいろな情報も不確実であり、いかに正しい情報を得て進んでいくか大変苦労と時間を要しました。幸いなことに、私の場合夫がドイツ人であり言葉以外にも、ドイツ社会でどのようにコミュニケーションを取りこのような問題に向き合って対処していくべきか助言を受けることが出来て、ホントに助けてもらいました。一人でしたらもっと時間がかかっていたと思うし、中途で断念していたかもしれません。本文では記載していませんが、この職業訓練6ヶ月コースを受ける以前に、いろいろな経験をしました。
      何件か、ドイツの看護学校、また私営の職業訓練コースに問い合わせしたり、実際に面談に行ってきました。日本の看護師免許があるにもかかわらず、3年間老人ホームや病院で働きながらAusbildung することをすすめられたりしました。これは、ドイツが看護師不足で安い給料で学生をAusbildungという形で雇い入れることが出来るし、学費もそこから支払われるので学校も安定して収入が得られます。また学校側はさらにドイツ政府からいくらかの援助金が出るので外国人の看護師を入れたがるわけです。日本で受けた看護教育はドイツより上ですので、言葉以外は自信を持っていただきたいです。私の経験から3年間Ausbildung を受ける必要はないということです。このように、外国人向けの職業訓練の収益を利用する悪徳業者もいるのでホント気を付けて下さい。加えて申しあげておきますが日本人だから安全ということもありません。
      私でお手伝いできることがありましたら、遠慮なくご相談下さい。

      YOKO Healthcare Consulting:http://www.yoko-nishijo.de/又はwww.yoko-nishijo.com
      webサイト内のコンタクトフォームから、又はinfo@yoko-nishijo.deに御連絡下さい。

      0
      • こんにちは。
        私も看護師免許の切り替えがしたく、yokoさんに色々うかがいたいのですが、こちらから連絡するのでよいのでしょうか。

        切り替えに看護師の臨床年数の条件はありますか。

        ご連絡お待ちしております。

        0
        • 御質問、御相談につきましては下記連絡先に御連絡下さい。
          info@yoko-nishijo.com (info@yoko-nishijo.deから変更しています)
          こちらに御連絡後、返信がありませんでしたら再度こちらに書き込みお願いします。

          YOKO Healthcare Consulting
          Yoko Nishijo

          0
  • はじめまして。今年5月に決心し、子ども2人を連れてドイツ移住作戦を決行中の看護歴は5年のシングルマザーのSternです。在独3か月になり、もうすぐ外人局にてTerminの期日が来るので、これから滞在ビザ申請をしていくところです。さて、渡独後2つ目の語学コースが終わり、隙間時間ができる日に合わせ、VHSで知り合った参加者にAnerkennungを親身に手伝ってくれると教えてもらっていたZWDでTerminを取っていました。日本にいる時にドイツの市役所に問合わせ、親切にも市役所から別の役所へ、そこからまた別の所へと点々と繋いでくれて色々情報は得ていたものの、自分の中で朧げなイメージしか掴めず宝の持ち腐れでしたが、運良くYokoさんのブログに辿り着き、拝見・拝読させて頂いて、ドイツで看護師になる道とはいかなる流れかを把握できていたことが功を奏し、今回のZWDでの相談で説明を受けるうちに自分の理解に繋がりました。また、Antrag用紙を事前に用意し持参できたので、申請方法の説明に集中でき時間も有効活用できました。手元にあるものでとりあえず申請するつもりですが、翻訳者に依頼してやり取りが果たして私の語学力でできるのか、支払える相場なのかもわかりませんが、可能性はたどっていこうと思っています。とりあえずここまで来れたので、Yokoさんに感謝の言葉を伝えておきたいと思いコメントさせて頂きました。どうもありがとうございます。

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    • Sternさん、こんにちは。私のブログが少し御役に立てたようで良かったです。お子さんもお連れということで大変だと思いますが、海外生活の経験は親子共に貴重な体験になりますので、頑張ってくださいね!応援しています!!
      ところで、書類の翻訳に関してですが必ずドイツ政府認定の翻訳者さんによる翻訳が必須です。そうでなければ認められません。私はDüsseldorfの日本人の翻訳者さんに御願いしました。なぜなら、日本語からドイツ語に翻訳することになるので。学校の証明書や就業証明書等かなりの枚数、翻訳を依頼したので料金は高くかかりました。料金の設定ですが、文字数で決まります。注意点ですが、翻訳の内容は必ず自分でも確認して下さい。翻訳の専門家でも間違うことはあります。たまに本文にそぐわない内容で解釈し、表現されている場合があります。

      私でお手伝いできることがありましたら、いつでもご相談下さい。

      YOKO Healthcare Consulting:http://www.yoko-nishijo.com/

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  • お返事が遅くなりまして申し訳ありません。筆者のYokoです。Naokiさんは作業療法士で、ドイツででも免許を取得し作業療法士として働きたいということですが、私は看護師ですが私と同じ手順んで資格を取得することは可能だと思います。文中で、ご紹介したIQネットワークでお聞きになるのが良いかと思います。Naokiさんの渡独されている状況(滞在許可など)が分からないので何とも言えませんが、私で出来ることがあればいつでも御連絡下さい。現在、私はヘルスケアコンサルティングとして活動しておりますのでそちらをご案内させていただきます。
    YOKO Healthcare Consulting:http://www.yoko-nishijo.de/

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  • ブログ読みました!
    私も今ドイツに来てちょうど一年、VHSでドイツ語を習っている者です!

    これから丁度看護師のAnerkennungをはじめるところでしたので、
    今後の流れがとてもわかりやすく書いてあるのをみて本当にタメになりました^^

    日本のカリキュラムなら、Voll-Anerkennungのお返事が来るのかなと勝手に思っていたので、
    そんなに長い時間の実習時間が課せられることもあるときいてとても驚いています。

    さて、質問なのですが、
    日本語からドイツ語の看護師免許書き換えに伴って、
    ドイツ語B2って必ず必須だと思っていたのですが、
    筆者さんのご経験では、

    まず看護出身校のカリキュラムなどを提出し、州から授業や実習分の不足・充足の判定が下って(6か月)から、
    ドイツ語B2の試験結果を提出する前に、
    職業訓練プログラムを受講されたということなのでしょうか?

    今の私のレベルでは、B2の試験が一番ネックになっているところでもあるので、
    とても時間がかかりそうだったものですから
    それ以外のことが先に済ませられるなら順序良くやっていきたいのです、、

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    • 御返事が遅くなりすみません!日本の看護教育は、実習時間より医学的、看護的知識の習得に力を入れているのでドイツが求めている実習時間より短いはずです。おそらく、看護師さんも私と同様の御返事をいただくことになるかと思いますが。
      逆に、Theoritische Unterrichtsの単位はかなりあった為, 看護学校で授業を受ける必要はありませんでしたが、ドイツ語で再度学習する必要があると考え受講しました。私の同時期に、職業訓練を受けた受講生は皆、母国で看護師でしたが実習時間・Theoritische Unterrichtをドイツ政府の求める単位を満たしておらず必須でした。

      ドイツ語レベルに関してですが、州により求められるレベルが違うようです。私の受講した職業訓練プログラムは、最低B1は必須でした。ただ、実技試験、口頭試験は全てドイツ語での読み・書き・スピーキングが求められるのでB1以上はあった方が良いかと思います。

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  • ブログ拝見させて頂きました。
    とても貴重な実体験が書かれており、勉強になりました。
    僕は日本で作業療法士の仕事をしており、
    現在ドイツで語学学校に通っています。
    僕も将来ドイツで作業療法士として医療の現場で
    勤務したいと考えています。
    作業療法士の職種もドイツでの免許切り替えや働くことは可能でしょうか?
    医療現場で働いている日本人や現地の方との
    接点がまだ見つからず、模索しています。
    何かアドバイス等頂けると幸いです。

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